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  • 更新日: 2016年10月24日

第1回では、弊社菊池が登壇した「シェアリングID」について、フォーカスして、レポートいたしましたが、今回は、その他の講演や、パネルディスカッションについてレポートいたします。

期待が上がるブロックチェーン

速報記事でも書かれています通り、スマートコントラクトカンファレンスの会場は満員の聴衆で埋めつくされていました。その満席の会場が物語っている通り、このカンファレンスを通して、ブロックチェーンに対する大きな期待が感じられました。

経済産業省 商務情報政策局の吉本豊氏からも、ブロックチェーンを使うことで社会的なコスト制約を開放する可能性があるとの言葉が発せられ、今年3月に発表した調査結果では、ブロックチェーンのテクノロジーにより今後影響を受ける現状の市場の対象が総額67兆円、すなわち、これだけ多くの市場が変革の可能性があるとの言及がありました。

金融分野では、FinTechの中心的な技術にブロックチェーンが位置づけられており、今年の5月に銀行法、資金決済法の見直しに着手したり具体的な動きが起きており、その期待の大きさが伺える発言が、金融庁 総務企画局の神田潤一氏からありました。

また、経済産業省、金融庁ともに、法律や制度面の整備や検討会やセミナーを開催したり、ブロックチェーンの可能性を活かすためのバックアップを行っていくことが言及されました。

アプリケーションのプラットフォーム Ethereum(イーサリアム)

イーサリアム (ethereum)

ビットコインはお金のプラットフォームのブロックチェーンであること対して、Ethereum(イーサリアム)はアプリケーションのプラットフォームとして、強化されたブロックチェーンです。

Ethereum(イーサリアム)は、ビットコインを元にし、2013年にヴィタリック・ブテリン氏がホワイトペーパーを発行し、2014年に最初のバージョンがリリースされた後、そのブロックチェーンの時価総額と言われる、ブロックチェーン上で使われる通貨のETHERの総額が、ビットコインについで2番目となるまで、広がったプラットフォームです。

このEthereum(イーサリアム)のプラットフォームは一般のプログラマーでもプログラム化された契約書であるスマートコントラクトを簡単に書くことができると共に、契約と履行を世界規模で1つの大きなコンピューターとして司れるワールドコンピューターであるとの説明が、ConsenSys社のジョセフ・ルービン氏よりありました。

ConcenSys社は、このEthereum(イーサリアム)のエコシステムを作り上げるべく立ち上がった会社で、Ethereum(イーサリアム)上で多くのアプリケーションを開発しています。今では開発だけではなく、企業へのブロックチェーン導入のコンサルティングも行っているなど、Ethereum(イーサリアム)の普及に力を入れています。

しかし、Ethereum(イーサリアム)は、まだ実験段階であることに対しても言及がありました。自律分散型投資ファンドThe DAOでの投資金が一時盗まれた事件は、ブロックチェーンそのものに問題はなくても、アプリケーションに問題があり、その穴を突かれことにより、盗難が起こりました。このように、Ethereum(イーサリアム)は、まだ問題は起こり得るプラットフォームであり、まだまだ慎重に扱い、実験し、成功を重ねていかないといけないという大きな学びを得たとのコメントも、パネルディスカッションで話されました。

 

ブロックチェーンの普及へ向けて

microsoft azure

ビットコイン、Ethereum(イーサリアム)を始め、ブロックチェーンはこれから普及していく技術です。普及に向けて、ConsenSys社は多くのプロダクトを作っていますが、マイクロソフト社もクラウドコンピューティングプラットフォームのAzureを通して、ブロックチェーンを簡単に使用できる環境を提供しています。

BaaS (Blockchain as a service)を提唱しているマイクロソフト社のマーレー・グレイ氏からは、Azureを使うことで簡単にブロックチェーンのテスト環境を構築できるBaaSを提供し、たったの20分でブロックチェーンの環境構築ができるようにしたとの説明がありました。簡単にトライすることができ、失敗してもすぐやり直せる環境を提供することで、より気軽に企業がブロックチェーンに挑戦できるようになり、イノベーションが促進されることが期待されます。

また、Bletchleyでは、ブロックチェーンとミドルウェアを組み合わせることによって、簡単にブロックチェーンを使ったサービスの骨組みを作ることができるようになります。コンポーネントの組み合わせで、様々なサービスを構築できる環境を提供し、企業がこのプリセットを作成することで、サービスインを簡単にするだけでなく、プリセットされたスマートコントラクトから使用料を得るモデルも実現可能であるとの説明もありました。

このように、マイクロソフト社は、ブロックチェーンの技術を使ったイノベーションを起こしやすい環境を提供することで、ブロックチェーンの普及と共に、イノベーションの促進に貢献しようとしていることがわかりました。

 

ブロックチェーン・スマートコントラクトの活用

ブロックチェーンを活用し、新たな価値を創出しようとしている企業からも多くの登壇がありました。様々な分野での活用が検討され、すでに形になっており、サービスを開始しているもの、ベータプロダクトとしてテストをこなっているものなど多くの紹介がありました。

金融分野では、コスト削減、取引処理速度向上(特に国際送金)、透明性確保への取り組みが行われていると、みずほフィナンシャルグループ社の上野 育真氏。特に取引の透明性確保に関しては、シンガポールのOtonomos社のマノ・タナバラン氏も過去に繰り返された不正会計の問題を指摘していました。ブロックチェーンに対する期待として、不正会計の排除への期待を感じさせる内容になっていました。

中間者のいない、フェアな取引がおこなえるようになる点では、音楽産業の課題解決を目指すUjo musicのジェシー・グルシャック氏から、著作権の権利者を守るにはスマートコントラクトが欠かせなくなるとの説明がありました。権利者へ、対価が支払われるまでのタイムラグ削減と、中間業者が入らないことによる手数料削減、更には購入者・販売者と支払金額が透明化されることにより、仮に海賊版が売られたとしても、トレース可能で、犯人を見つけることができるようになります。

権利の管理への活用に関しては、ブロックチェーンを車の使用権利管理と、決済に活用するとslocki.itのクリストフ・イェンチ氏 ドキュメントの存在証明などに活用していいるのFactom社からはデビッド・ジョンストン氏が登壇しました。また、Factom社は、Etherumのスマートコントラクトとの連携する新機能の発表がありました。他にも、クラウドファンディングのアプリケーションであるWeiFundや、予測市場のAugur等様々なアプリケーションの紹介がありました。

 

ブロッチェーンの未来

ブロックチェーンの未来図

カンファレンスを通じて、ブロックチェーンの未来に関する言及もいくつかありました。ConsenSys社のジョセフ・ルービン氏は、次世代のITアーキテクチャとして、エンタープライズの分野で、プライベートなブロックチェーンや、幾つかの企業だけで構成するコンソーシアムが組まれたブロックチェーンがたくさん作られ、今までのデータベースよりセキュアなアーキテクチャが広がるだろうと、更に、ConsenSys社のジェイムス・ブラザス氏からは、目的別にブロックチェーンが作られ、必要に応じでブロックチェーン同士がつながるようになるとの説明がありました。経済産業省 商務情報政策局の佐野究一郎氏からは、個人の持つデータに対する権利の管理がブロックチェーンによってコントロールできる未来を期待しているとありました。

そして、「仮想通貨革命」の著者である、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏は、過去にインターネットを使えば、今のようになるということを信じる人が少なかったが、ブロックチェーンでもまさに同じことが起こると話し、その傾向として、実際にこの2年間でブロックチェーンへの理解が進んでいることに言及しました。経済産業省 佐野究一郎氏からも10年後には社会に実装されているだろうという予想がされておりました。

このように、ブロックチェーン・スマートコントラクトにおける、現在と未来が語られ、スマートコントラクトカンファレンスは閉幕しました。ブロックチェーンはこれからどれだけ社会に影響を与えていくのか、今後の展開から目が離せません。

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。

Ethereumアプリイベントレポートガイアックスシェアリングエコノミーブロックチェーン

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