Hiveブロックチェーンは、2016年にローンチしたSteemというブロックチェーンからハードフォークした古くから存在するブロックチェーンです。毎年Hive Festというミートアップが開催され、世界中からユーザーが集まります。筆者も今年は2018年以来、久しぶりにHive Festに参加してきました。本記事ではHive Festの様子をお伝えしつつ、Hiveの魅力も紹介できたらと思います。
Hiveブロックチェーンとは
暗号資産やブロックチェーンに注目が集まる前の2016年、Steemというブロックチェーンが誕生しました。このブロックチェーンとともにローンチしたのが分散型ソーシャルメディアのSteemitです。Steemitはコンテンツを投稿してユーザーから評価されると暗号資産で報酬をもらえるブログサービスです。本ブログでも、2017年にSteemとSteemitを一つの記事として紹介しました。
「Steem」ブロックチェーンを使ったソーシャルメディアプラットフォーム
Steem上では、Steemitでブログを書けるだけでなく、カードバトルゲームSteem Monsters(現Splinterlands)、Move 2 EarnのActifitをはじめ、さまざまなサービスやプロジェクトが立ち上げられました。2020年に入って、TronによるSteem/Steemit買収に反対した有志が、Steemからハードフォークする形でHiveをローンチし、現在に至ります。
HiveはSteem同様、DPoS(Delegated Proof of Stake、ユーザーが内部トークンで投票してブロックを生成するウィットネスが決まる)のブロックチェーンで、新旧の有志がウィットネスとしてブロックチェーンの運用に携わっています。
ブロックチェーンや暗号資産というと、分散型で、さらに匿名性が強調されることが少なくありませんが、Hiveのコミュニティはまだそこまで大きくなく(数百万アカウントが存在し、アクティブなアカウント数は時期によって大きく異なり2021年の暗号資産ブームでは月間20万アクティブアカウントを超え、通常時では月間数百から数千アカウント)、Hive Festをはじめとするミートアップでは、Hiveブロックチェーンの開発や運用にコミットしている人たちや、Hiveブロックチェーンを気に入って使っている他のユーザーと顔が見える形でつながれるのはよいところでもあります。
HiveとHive Blogについて詳しくは、本ブログの以下の記事を参考にしてください。
Hive Blog – 老舗Steemitからフォークした分散型ソーシャルメディア
毎年恒例のミートアップ「Hive Fest」
Steemがローンチされた2016年には初回のSteem Festがアムステルダムで開催されました。以降、毎年秋にポルトガル、ポーランド、タイ、オランダ、メキシコでミートアップが開催されてきました(2020年からはHive Festと改名され、コロナ禍の2020年と2021年はメタバースで開催)。多い時には世界各地から数百人の参加者が集まった回もあったようです。
Hive Festを企画するチームはいるものの、Hive Festは特定の企業など中央集権的な組織が主催するイベントではありません。企画チームと開催地にいるユーザー、有志が登壇したり、おもしろいものを持ち寄ったりしながら分散型で開催されています。
例年、オープニングパーティーがあり、数日のカンファレンスデーのあと、開催地を堪能できるツアーが続きます。2024年のHive Festはクロアチアのアドリア海沿いの街スプリットで開催されました。筆者が住むドイツからそこまで遠くないこともあり、久しぶりにHive Festに参加することにしました。2018年のポーランドで開催された回にも参加しましたが、パーティー、トーク、ネットワーキング、地域の食事、ツアーなど盛りだくさんで、チケット代以上のよい体験をできる良いミートアップだと感じています。
HiveFest⁹ – 10 → 15 September 2024 – Split, Croatia – Roman’ Around
Hive Fest 2024に参加しました
Hive Festのチケットは、法定通貨で購入することもできますが、せっかくなので長年使っているHive Blogで記事を書いて、HiveのステーブルコインHBDを貯めて約300ドル相当のレギュラーチケットを購入することにしました。HBDでチケット代を貯めていることを投稿すると、サポートしてくれるユーザーが出てきて、とてもうれしかったです。前回2018年にSteem Festに参加したときには、チケットをスポンサーしてくれるユーザーがいました。もちろんただHiveにいるだけでお金をもらえるわけではないのですが、長く使って他のユーザーとのつながりができる中で、普段生きる現実世界とはまた違ういわばWeb 3.0な支え合いを体験できるのもHiveのおもしろさと言えるかもしれません。
法定通貨を介さず、サービスでもらった報酬を使って暗号資産で完結する形で数万円相当の大きな買い物をできたのも、暗号資産・ブロックチェーンの世界での新たな一歩となりました。
画像: チケット代をHBDで送金!
2024年のHive Festの日程は、初日にスプリット市内のバーでオープニングパーティーがあり、2日目と3日目はカンファレンスデー、4日目はボートでの1日ツアー、5日目はHive Rally Carのお披露目と夜にクロージングパーティーというものでした。残念ながらボートトリップは、悪天候のため延期となり帰国日と重なってしまい参加できませんでしたが、実りの多い5日間になりました。
ここでは、2日目と3日目のカンファレンスデーの内容を中心にHive Festがどのようなミートアップだったか紹介します。
2024年のHive Festにはヨーロッパや北米を中心に100人ほどのHiveユーザーが参加しました。カンファレンスデーは海岸にほど近い美術館の庭園と、古代ローマ時代のディオクレティアヌス宮殿で行われました。冒頭の写真のように、ディオクレティアヌス宮殿では王様が来てスピーチをするシーンも。長らくHive Festに関わってきた方と話す機会があり、開催地について尋ねると、Hive Festを開催しないかという都市からのオファーもあるようで、このような特別な形でカンファレンスを開催できるのかもしれません。
カンファレンスデーでは、Hiveブロックチェーンに関するさまざまなプロジェクトの紹介や進捗の報告が行われます。スピーカーリストを見て楽しみにしていたのがミスユニバースの元エルサルバドル代表のミス・ビットコインmissbitcoin-svさんによるトークでした。ビットコインを活用した彼女自身のビジネス、地域での教育活動とともに、Hiveにも興味を持っていて、ガーナでHiveの分散型ファンドの支援を受けてきれいな水を供給するプロジェクトを視察した様子が紹介されました。
画像: 元エルサルバドル代表のミス・ビットコインによるプレゼンテーション
ガーナでのプロジェクトについては、プロジェクトリーダーのMcSammさんとビジュアルクリエイターのRafさんが現地を訪れて、ドキュメンタリー映画「Water Direct」を作成し、Hive Festでスクリーニングが行われました。暗号資産が世界を良くするために使われている事例を目の当たりにできる作品でした。現在各国のフィルムフェスティバルに応募しているとのことで、「日本でも上映されたら、暗号資産に対するイメージが大きく変わる気がします」と伝えました。
画像: ドキュメンタリー映画「Water Direct」のプレミア後のトーク
暗号資産が人をエンパワーメントするという意味では、Hive Rally Carにも触れておきたいです。カーラリーに参加するための運転技術を磨いて、レースに参加し続けるには少ない資金が必要だそうです。一度はレーサーとしてのキャリアを諦めたssekuljiさんは、今Hive Rally Carのレーサーとしてレースに参加しています。Hive Fest中にはHive Rally Carのお披露目が郊外のサーキットで行われました。
画像: Hive Rally Car
カンファレンスデーの最後には、Hiveのビールコミュニティーのトークと、暗号資産ビールMetabrewのサンプリングが行われました。MetabrewはHiveのプロジェクトではありませんが、ビールコミュニティを立ち上げたドイツのdetlevさんが最近創業者と知り合ったとのことで、ドイツからはるばるビールを持ってきてくれました。こんなところでも参加者みんなでHive Festを作り上げていく様子がうかがえました。
画像: ビールコミュニティのトークのあとはもちろんビールで乾杯🍻
笑いあり、感動の涙ありのHive Festは、ブロックチェーンファミリーの年に一度の親戚一同大集合といった様子で、新旧ユーザー問わずHiveユーザー誰もが歓迎される雰囲気がありました。
カンファレンスデーの様子は、アーカイブが残っています。Hive FestやHiveについて詳しく知りたいという方は、YouTubeのHive Festのチャンネルのアーカイブをぜひ見てみてください。
https://www.youtube.com/@HiveFest
Hive/Hive Blogを始めたいと思ったら
本記事や本ブログのHiveとSteemに関する記事を読んでHive Blogを使ってみたいと思った人もいることでしょう。Hiveの仕組みの詳細は本ブログの解説記事に譲りますが、Hiveの魅力はなんといっても、思い立ったらすぐに始められるところにあります。暗号資産取引所に口座を開設する必要も、法定通貨で暗号資産を買う必要もありません。使い慣れたWeb 2.0のWebサービスのようにアカウントを作って使い始め、実際に価値のある暗号資産を報酬として得られるため、リスクを抑えてとりあえず暗号資産やブロックチェーンを使ってみたいという人の良い入り口になるはずです。
Hive/Hive Blogのインターフェイスは英語で、英語の記事や英語でのやり取りが多く、敷居が高いと感じる人もいるかもしれませんが、心配無用です。Hive Blogには日本語のコミュニティHive JAがあり、DiscordにはHive JAのグループもあります。
日本語コミュニティには、筆者を含め、2010年代後半からHiveを長らく使っているユーザーもいて、和気藹々雑談をしたり、疑問にこたえたりしています。
英語に抵抗がないという人は、関心のあるトピックのコミュニティにどんどん参加して記事を書いて、他のユーザーとのコミュニケーションを楽しみながら、アカウントを育てて、報酬アップを目指せるでしょう。Hive Blogには実に様々なコミュニティがあり、私は手芸、ガーデニング、アート、食、サイクリング、ビール・・・といったコミュニティに出入りしています。
また、Hive上には、Hive Blogだけでなく、各種ショートコンテンツの投稿サービスやゲーム、Move to Earnのサービス、NFTのショールームなども。文章を書くのがそこまで得意でないという人も、自分に合った方法でHiveに参加してみてください。
おわりに
近年、Web 3.0の文脈でも、現実世界でも近年「コミュニティ」という用語が多用されています。一方で、目標や価値観を共有して活動はしていても、その中で相互支援が生まれ、つながりを感じられるコミュニティは多くはないのかもしれません。
そのような中、筆者にとって、Hiveは日々使いながら、他のユーザーと時間と興味を共有しながら、さらにHive Festなどで実際にユーザー同士が会う機会もあり、時間をかけてコミュニティの一員になっていけた貴重なコミュニティです。
Hive Festのレポートという形でHiveの雰囲気が読者のみなさまに伝わったらうれしいです。自分の興味や想いを伝えたい、世界中のユーザーとつながりたいという人はHiveで歓迎されるはずです。ぜひ、本記事をきっかけにHiveに足を踏み入れてみてください。