ガイアックスでは、ブロックチェーン業界また開発者コミュニティの発展のため、ブロックチェーンを用いたアプリケーションを開発し、それらをオープンソースとして公開しています。本記事ではGaiax OSS Blockchainの取り組みに関して紹介します。
Gaiax OSS Blockchain サイト:https://oss.gaiax-blockchain.com/
OSSに取り組む背景
まず、OSSとは、ソフトウェアのソースコードが無償で公開されていて、誰でも見ることや使うことができ、改良や再配布を行うことが誰に対しても許可されているソフトウェアのことを指します。
ビットコインやイーサリアムといったブロックチェーンは、ブロックチェーンというソースコードが公開されており、みんなでそのソースコードをアップデートすることで、中央集権なく永続化する仕組みになっています。また、ブロックチェーンのサービスそのものも、誰でも使うことができ、誰でも改良を行う事ができます。このように、ブロックチェーンは広く公開されており誰でも使えることから、ブロックチェーンそのものもOSSと捉えることができます。
つまり、ブロックチェーンとOSSは非常に相性の良いものということがわかります。
ブロックチェーンそのものとOSSとの相性は良いのですが、ブロックチェーンを使ったアプリケーションはいくつも公開されているものの、ちょっとしたデモアプリか、プログラミング学習用のサンプルが多く、ブロックチェーンの上で実際に動く状態で公開されているOSSはあまりませんでした。
また、実際に稼働しているアプリケーションとして公開されているソフトウェアも多くありますが、それらのソフトウェアは規模が大きく、応用して新しいアプリケーション開発に活かすことが難しいといった課題もあります。
今の世の中に求められているのは、ブロックチェーンを使って実際に動くアプリケーションでビジネスのタネとなるソフトウェアです。そこで、ガイアックスは、実際に動き、様々なビジネスに適用可能な形で、規模が大きすぎないソフトウェアを公開し、そのソフトウェアが活用されることで、ガイアックスのみならず、様々なところからブロックチェーンを使ったアプリケーションがより多く産まれることを望んでいます。
ブロックチェーン と シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーではユーザー同士が取引を行う際に、サービスの運営側が仲介や品質の担保をしています。ですが、ブロックチェーンでは、事前決めた条件に合った取引を自動的に執行するプログラムであるスマートコントラクトによって、仲介者がいなくても取引を成り立たせる、自動化された世界へ導く存在として期待されています。
また、シェアリングエコノミーを実現ために重要な要素として、ユーザーによるレビューがあります。このレビューを保存する場所として、改ざんがほぼ不可能なブロックチェーンは最適を考えられます。
こういった、ブロックチェーンとシェアリングエコノミーの相性の良さはあるものの、それを体現するソフトウェアはあまり多くはありませんでした。その理由は様々ありますが、スマートコントラクトを使った完全自動化されたシェアリングエコノミーサービスに、ユーザーのニーズがまだ追いついていない点は根底にあると考えられています。
各アプリの紹介
チェックインアプリ
誰がいつどこを訪れたかを証明できるアプリケーションです。
このアプリでは、ある特定の場所に訪れた際にチェックインすることができ、チェックインするとその場所にチェックインしている人の一覧も見ることができるようになっています。チェックインしたい場所が登録されてない場合は、ユーザー自身で場所の追加登録もできます。
誰がいつどこに訪れたかなどのチェックインの情報をブロックチェーンに記録することにより、永続的にそのデータを保存し、あとから参照することができます。また、FoursquareのSwarmのように、位置情報を利用したビジネスやゲームへの活用もユースケースとして考えられます。
デモサイト:https://eth-checkin.firebaseapp.com/
Github:https://github.com/gaiax/eth-checkin-proto
トークンリファレンスマッピング
このアプリではアイディアやコンテンツをトークン化して登録できます。ただトークンとして登録するだけでなく、参照したアイディアやコンテンツとの繋がりも登録することができ、コンテンツの参照関係も可視化できる仕組みになっています。
また、トークン化されたアイディアやコンテンツを第三者が参照した時、コンテンツの作成者(トークン保有者)に直接ETH(お金)を払うことができます。コンテンツの繋がりが記録されているため、このETHが支払われる際に、参照した元のコンテンツやアイデアの権利者にも自動的にETHが分配されるようになっています。
このように、コンテンツの繋がりを記録し、参照元にもETHが支払われるような仕組みにすることで、n次利用で発生する利益を大元のコンテンツの作成者に還元でき、他の人が堂々とコンテンツの流用することができます。このアプリを利用することにより、今までできていなかったコンテンツの流通の管理ができるようになると考えます。
デモサイト:https://erc721-token-reference-mapping.firebaseapp.com/
Github:https://github.com/gaiax/erc721-proto
FLIBRA
Facebookが開発を進める独自の仮想通貨「Libra(リブラ)」を使ったプロトタイプアプリケーションです。これまでの、ビットコインを代表とした仮想通貨は、相場による価格変動が大きい上、決済手数料の高さがネックとなり、決済手段として幅広く普及するにはいたっていませんでした。これに対して、Libraは法定通貨や、国債などの現金に近い資産を裏付けとしており、これまで課題とであった大きな価格変動を抑制する仕組みになっています。
このプロトタイプアプリケーションでは、出品、購入申し込み、Libraを使ったエスクロー決済、レビューの機能、などのマーケットプレイスとしての最低限の機能を実装しており、暗号資産による決済を体験できるアプリになっています。
デモサイト:https://flibra.gaiax-blockchain.com/
Github:https://github.com/gaiax/fLibra
おわりに