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MakerDAOとは

MakerDAOはデンマークの起業家Rune Christensen氏が2014年始めたプロジェクトで、暗号通貨を担保としてスマートコントラクトベースで米ドルにペグされたステーブルコインDai(1DAI≒1USD)を発行する自律分散型組織です。
※ ステーブルコインについては本ブログの記事「ステーブルコイン (Stable Coin):安定した価格を実現するコイン」を参考にしてください。

MakerDAO | An Unbiased Global Financial System

Daiは2017年12月にEthereum上でリリースされました。2021年にはMakerDAOが完全に分散化し、数ヶ月かけてMaker Foundationを解散することが発表されました。

MakerDAO Has Come Full Circle

MakerDAOが発行するDaiは2022年2月現在、CoinMarketCapのステーブルコインの時価総額ランキングでTetherのUSDT、CircleのUSDC、BinanceのBUSD、TerraのUSTに続いて5位にランクインしています。

画像: ステーブルコインの時価総額ランキング(CoinMarketCapより)

2021年10月に本ブログでTerraを紹介した際のデータと比べると、当時はDaiの時価総額の方がUSTの時価総額よりも大きく、数ヶ月の間にランキングが逆転したようです。これはDaiが衰退しているというわけではなく、TUSDもDaiも3ヶ月の間に時価総額を大きく伸ばしていて、Daiの時価総額は3ヶ月前の約1.5倍になりました。

企業データベースCrunchBaseによると、MakerDAOは2017年から2020年にかけて5450万ドル(執筆時点のレートで約63億円)を調達しました。2018年にアメリカの有名ベンチャーキャピタルa16zもMakerDAOに対して出資しています。

MakerDAO – Funding, Financials, Valuation & Investors

 

MakerDAOのステーブルコインDai

Daiの価格は、2020年3月のコロナショックで大きく動いたものの、概ね1ドル付近で推移しています。

画像: Daiの価格推移(CoinMarketCapより)

DaiはUSDT、USDC、BUSD、USTといったステーブルコインとどう異なるのでしょうか。

まずUSDT、USDC、BUSDにはそれぞれTether、Circle、Binanceという中央集権的な発行主体があり、米ドルや金融商品を担保に発行しています。特にTether社については担保資産の不透明性についての議論が古くからあり、2021年にはじめてTether社が資産を公開して話題になりました。1USDT≒1USDとする米ドルにペグされたステーブルコインであるにもかかわらず、現金保有率が非常に少ないことが驚きを持って受けとめられました。

謎に包まれていた「仮想通貨USDTの裏付け資産」 内訳をテザー社が初公開 | CoinPost

これに対してUSTとDaiはアルゴリズム型のステーブルコインで、それぞれTerraブロックチェーン上、Ethereum上のスマートコントラクトで管理されています。
※ USTの仕組みについては本ブログの記事「Terra(テラ) – ステーブルコインのためのブロックチェーン」を参考にしてください。

当初DaiはETHを担保とする単一担保型のステーブルコインとして発行されていましたが、2019年にETHをはじめ複数の暗号通貨を担保とする複数担保型のステーブルコインになりました。

Daiの仕組みはTerraよりも直観的で、USDTやUSDC、BUSDなどのように担保となる資産をもとに生成されます。ただし、Daiを生成する際の担保は暗号通貨で、生成する金額に対して最低150%の過剰担保を差し入れます。担保価格が下がり最低担保率を下回ると精算されてしまうため、実際には150%よりも多く担保を差し入れます。

Dai Statsでは、どのような資産が担保になっているのか、担保率はどのくらいなのか可視化されています。

画像: 2022年2月本記事執筆時点のDaiに関する統計(Dai Statsより)

Daiは暗号通貨取引所で入手できるほか、一般のユーザーもMakerDAOのコミュニティが開発を進めるOasis.appで生成できます。Oasis.appはスマートコントラクトで作られた銀行のようなサービスで、資産の保管や運用、借入ができます。

Oasis.app

取引所で入手できるDaiをなぜわざわざ担保を差し入れて生成する必要があるのでしょうか。一つの用途として「暗号通貨の損益を確定したくない」「暗号通貨が今後値上がりすると期待しているので売りたくない」といった場合に手持ちの暗号通貨を売却することなく、米ドルにペグされたDaiを手に入れるという用途が考えられます。また、取引所の価格を動かしてしまうほどの量や、取引所の流動性を超える量のDaiを手に入れたいという場合にも、有効な選択肢となりそうです。

Daiを利用できるサービスについては、MakerDAOのウェブサイトにエコシステムについてまとめたページがあります。

Maker – エコシステム

 

MakerDAOのガバナンスと安定を担うMKR

MKRは、Daiの管理を行うMakerプロトコルの意思決定での投票権を表すガバナンストークンです。投票は広範なトピックについて行われ、一例として「Daiを発行する際に何を担保にするか」が挙げられます。

MKRの初期発行量は100万枚で、発行上限枚数はありません。Etherscanによると、現在は初期発行量と同程度の98万枚弱の循環供給量があります。Daiはステーブルコインですが、MKRの価格は変動します。

画像: MKRの価格推移(CoinMarketCapより)

MKRはMakerDAOの資本の安定にも使われます。担保資産の価値が下落してMakerDAOが赤字になり、負債の値が閾値を超えると、MakerDAOはMKRを新しく発行しDai払いで売りに出します。MakerDAOコミュニティのMKRについて解説した文書によると、MKRの発行量が増え価値が薄まることで、MKRの保有者は価値を維持するためにシステムをよりよくガバナンスするよう動機づけられるともいいます。逆に、MakerDAOの資本が閾値を超えるとDaiを売りに出し、支払われたMKRをバーンします。

MKRについて詳しくはMakerDAOのコミュニティが文書を公開しています。

MKR Token

 

MakerDAOが注目される理由

現在主流の中央集権的なステーブルコインには透明性や検閲耐性について課題がありますが、MakerDAOは長期にわたってコミュニティの支持のもとスマートコントラクトで透明性を保ちながら担保とDaiの管理をしてきました。さらに2021年にMakerDAOがMaker Foundationを離れ完全に分散化したことで、より民主的な通貨管理システムとなることが期待されます。

検閲体制については、MakerDAOでは中央集権的なステーブルコインのようにアドレスを一方的にブラックリストに入れられ、資産を凍結されてしまうことはなく(MKR保有者によってそのような決定がなされない限り)、自由なステーブルコインと言えるでしょう。以下の記事では中央集権的なステーブルコインのブラックリストや、アドレスの照合にかかる追加費用について書かれています。

USDC blacklist cost users an extra $3.6 million – per month | CryptoSlate

このほか、プロジェクトが完全なDAO化を遂げた事例としても、今後DAOを目指すプロジェクトのロールモデルとなるはずです。

ただ、MakerDAOは分散型で透明性を持って稼働している一方で、それだけでは十分訴求力があるとは言えません。筆者自身、中央集権的な運営者のいない分散型アプリケーションの支持者ですが、実際には中央集権的な取引所も利用し、ドルにペグされたステーブルコインはUSDCやBUSDを使い、DaiやOASIS.appを使って本当の「分散型」金融の世界に浸るには至っていません。また、Daiの担保について前出のDai Stats の統計を見ると、担保の半分以上が中央集権型のUSDCになっていて、ユーザーの選択とはいえMakerDAOが完全に中央集権的なシステムと無関係ではないことがわかります。

MakerDAOやDaiにも課題はありますが、Web3はまだ始まったばかりです。今後MakerDAOが自律分散型の金融サービスとしてユーザーを魅了し、Daiを使える機会が増えることが期待されます。

 

おわりに

本記事では仮想通貨の黎明期に構想され、長期にわたってスマートコントラクトでステーブルコインDaiを発行・管理しているMakerDAOを取り上げました。2021年に完全な分散化を遂げたMakerDAOは、分散化を目指すWeb3プロジェクトのロールモデルとなることでしょう。MakerDAOが発行するDaiについては、主要なステーブルコインに対する透明性や自由さといった優位性に加え、来たるWeb3の世界で利用が広がるか注目したいところです。

 


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Akiko T.

Akiko T.

エンジニアの経験と情報学分野での経験を活かして、現在はドイツにてフリーランスで翻訳・技術解説に取り組む。2009年下期IPA未踏プログラム参加。2016年、本メディアでの調査の仕事をきっかけにブロックチェーンや仮想通貨、その先のトークンエコノミーに興味を持つ。

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