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  • 更新日: 2023年7月7日

本連載では、ブロックチェーンを活用したシェアリングエコノミーのサービスを紹介しています。初回のSlock.itに続いて、今回はライドシェアリングサービス「La’Zooz(ラズーズ)」について説明します。

 

La’Zoozとは

La’Zoozは2013年10月にイスラエルではじまったプロジェクトで、2014年創業としています。

La’Zooz プロジェクトウェブサイト

La’Zoozはその全容について「コミュニティーが所有する分散型の輸送プラットフォームで、乗り物の空きスペースを利用して輸送のためのさまざまなソリューションを作り出す」とし、その一例として、車の空席と人の移動のニーズをリアルタイムでマッチングし、公平な料金を実現する分散型のライドシェアリングサービスLa’Zoozを提供しています。

La’Zoozのユーザーは、Android向のアプリを通じて乗車機会を検索、または空席を提供し、独自の電子通貨Zoozで対価をやりとりします。Zoozは乗車機会を提供することで獲得できるだけでなく、クラウドセールで売り出されていたほか(2016年現在クラウドセールは終了しています。)、Android向のアプリを立ち上げて20km以上走行し位置情報を提供したり、友人を招待したりすることでも獲得できます。
クラウドセールについて、詳しくは「クラウドセール - ブロックチェーンによるクラウドファンディングの新しい形」をご参照ください。

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画像: Google PlayのLa’Zoozアプリのページより

アプリを立ち上げて移動するだけでZoozを獲得できるというと、少し不思議な感じもしますが、La’Zoozによると、地域でサービスが普及するのに必要なユーザーを獲得し、乗車のニーズを把握するための初期ユーザーのためのインセンティブで、十分なユーザーや輸送の需用が見込めた場合、当該地域でLa’Zoozのライドシェアサービスが開始されるようです。

 

シェアリングエコノミーとLa’Zooz

シェアリングエコノミーについては、Slock.itを紹介した記事で概要を説明しました。シェアリングエコノミーとライドシェアリングというキーワードから、アメリカ発のUberの名前を思い浮かべる人もいるかもしれません。Uberは、一般の人が自分の車や時間、運転スキルを他者と共有するという点ではシェアリングエコノミーのサービスと言えますが、どちらかというと共有するというよりも、ニーズに応じて車を出す配車サービスととらえる方がよいかもしれません。一方、La’Zoozはより共有することを重視しているようで、ニーズに応じて車を出すというよりも、車の空きスペースを活用する、同じ目的の人をマッチングするといった特徴を強調しています。このような違いから、経済・金融ニュースメディアBloombergのLa’Zoozを紹介した記事ではLa’Zoozを「ユートピア的でヒッピーなUber」と形容しています。

サービスの違いは、それぞれの仕組みにも現れていて、UberはUber Technologies Inc.という企業が運営主体ですが、La’Zoozは分散型のサービスで運営主体がありません。支払いは輸送サービスの提供者と利用者の間で独自の電子通貨Zoozを使ってP2Pで行われます。La’Zoozの分散型の仕組みは斬新ですが、一長一短があるのも事実です。運営主体が存在しないため、リベラルなコミュニティーが保たれ、利用者としては手数料がかからないといったメリットはあるものの、万が一事故が起きた時に誰が保証するのかといった問題が考えられます。

分散型のサービス、電子通貨、P2Pと書きましたが、La’Zoozのシステムではブロックチェーンを利用しています。次ではLa’Zoozでどのようにブロックチェーンが利用されているか見てみましょう。

 

La’Zoozはブロックチェーンを何に使っているのか

La’Zoozで、ライドシェアのほか、開発やデザインに貢献した対価としてもやりとりされる独自の電子通貨Zoozは、ビットコインのブロックチェーンを利用したプラットフォームOmni上で発行されているトークンです。また、2015年1月のShareableのインタビューで「すべてはまだテスト中で、データはわれわれのサーバーに保存されている」としつつ、「最終的にはすべてのデータをブロックチェーン上にのせたい」とし、その後の2015年6月のThe Cointelegraphのインタビューでもスマートコントラクトを記述できるイーサリアムブロックチェーンに期待をよせています。

La’Zoozは2015年6月にホワイトペーパーを公開していますが、この中でもどのようにブロックチェーンを利用しているのか、また、将来的に利用していくのか、残念ながら詳細は明らかにしていません。分散型の運営形態になるため、契約と支払いの自動化にブロックチェーンが使われていくのは明らかです。ただ、Zoozの取り扱いのみならず、イーサリアムのブロックチェーンでスマートコントラクトとしてライドシェアが成立するような仕組みになれば、前回紹介したSlock.itの保険を含めたレンタルバイクのワンストップサービスのように、事故が起きた場合の保証の問題も保険を発行するなどして解消できる可能性があります。

 

La’Zoozのこれから

Gründerszene のLa’Zoozを紹介した2016年1月の記事によると、La’Zoozには約10,000人のユーザーがいて、どの都市でライドシェアサービスを提供できるか検討しているとのことです。La’Zoozのウェブサイトには地図が掲載され、この地図上でコミュニティーの状況が可視化されるようですが、2016年9月現在、各都市のメンバーやコミュニティーの状況はされておらず、本格的なサービスの開始にはもう少し時間がかかるのかもしれません。

また、より大局的な視点では、La’Zoozはライドシェアという輸送の一例を超え、より広義での輸送全般の効率化や、さらにはLa’Zoozが”Fare share model”と呼ぶコミュニティー内での公平にサービスや対価がやりとりされるメカニズムのモデルにも興味を持っているようです。

画像: La’Zooz – Social Ridesharing – YouTubeより

おわりに

今回はブロックチェーンを利用したシェアリングエコノミーのサービスとして、La’Zoozを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。弊社Gaiaxでは、ライドシェアおよびシェアリングエコノミーに注目し、株式会社Costyleと日本最大のライドシェアリングサービス「notteco」を譲り受けることで2015年9月に合意しました。

まだ明らかになっていない部分の多いLa’Zoozですが、VentureBeatの記事では、まだあまり知られていない注目すべき若き100のスタートアップのひとつとして、シェアリングエコノミーのカテゴリーとりあげています。Uberの競合となりうるかは別としても、共有しようという志を同じくする人たちを対象としたライドシェアリングサービスとして、また、コミュニティーのニーズに特化したライドシェアリングサービスをゼロから運用することに変わる手段として、今後の動向に注目するに値するのではないでしょうか。

 

 

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。

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