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cryptovoxels

Cryptovoxelsとは

Cryptovoxels(クリプトボクセルズ)は、ニュージーランドのNolan Consulting LimitedのオーナーBen Nolan氏が中心になって開発を進めるEthereumブロックチェーンを利用した3D仮想世界です。

Cryptovoxels – Ethereum Virtual World

Cryptovoxelsの世界は、コンピューターやモバイルデバイスのブラウザのほか、Cryptovoxelsが使用しているbabylon.jsに対応したOculus QuestをはじめとするVRブラウザを搭載したヘッドセットでも探索できます。プレーヤー同士はテキストチャットやボイスチャットでコミュニケーションできます。

Cryptovoxelsはプログラミングの知識がなくても編集できる世界の構築を目指しています。プレーヤーはオークションやマーケットプレイスで土地を購入し、店舗やギャラリーを作り、その中にオブジェクトを配置できます。これらはすべてビルトイン機能で、ブラウザから利用できます。

プレーヤーが作るブロックチェーン上の3D仮想世界というと、本ブログでも取り上げたDecentralandを思い浮かべる人もいるかもしれません。Cryptovoxelsは仮想世界の土地の所有権をブロックチェーンで扱い、プレーヤーが世界を作れるという点ではDecentralandと同様のサービスといえます。
※ Decentralandについて詳しくは本ブログの記事「ブロックチェーン上の3D仮想世界Decentraland」を参考にしてください。

Decentralandがスムーズな3D世界であるのに対し、Cryptovoxelsはその名の通り、立方体(ボクセル: 3次元空間で体積の最小単位を表す立方体)を積み上げて作る、いわばレゴブロックのような世界です。

画像: Cryptovoxels内に建築中のギャラリー(Cryptovoxels 15 Suginami Avenue

Coindeskは2020年4月の記事の中でCryptovoxelsについて「a very indie sort of Sim City experience」(とてもインディーなシムシティーのような体験)と説明していますが、まさにその通りで、メインストリームを狙うDecentraland、Nolan氏を中心に開発が進められ独立系の路線を目指すCryptovoxelsといった印象を受けます。

Coindeskの同記事では、Cryptovoxelsのユーザー数について記述があり、Nolan氏によると「ロックダウン前は同時にログインしているユーザーは10人程度だったが、ロックダウン中は平均40-50人になっている」とのこと。ユーザー数はロックダウン中に増え、着実にオークションで土地を売っていっているものの、メジャーなサービスになるにはまだ時間がかかるのかもしれません。

続いてCryptovoxelsがどのようにブロックチェーンを使っているのか見てみましょう。

 

Cryptovoxelsとブロックチェーン

Cryptovoxelsは資産の管理にEthereumブロックチェーンを使っています。Cryptovoxelsがプレーヤーに対して提供する主な資産として土地があります。Cryptovoxels上の土地はEthereumのNFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン)の標準、ERC721に基づいて作られ、定期的にプレーヤーに対して売りに出されます。土地はオークションに参加するほか、外部のクリプトコレクティブルのためのマーケットプレイスOpenSeaで他のプレーヤーから買うこともできます。
※ ERC721トークンについては本ブログの記事「ERC721とは?代替不可能で唯一無二なトークンを作る標準」を参考にしてください。

画像: OpenSeaで売りに出されているCryptovoxelsの土地(OpenSeaより)

土地以外の資産として、アバターや名前といった資産もERC721トークンです。自分のアバターを作りたい、名前をつけたいといった場合には、Cryptovoxels上でEthereumのガス代(手数料)を支払って、これらを作りますが、裏側ではスマートコントラクトによってERC721トークンが作られているというわけです。名前やアバターも土地同様にOpenSeaで売り買いできます。また、Raribleといった誰でもNFTを作れるサービスを利用して作られたコレクティブルを自身のスペースに配置し、OpenSeaと連携して売ることもできます。

Cryptovoxelsでは、資産の売買にEthereumが使われます。以前は$COLRという内部トークンがありましたが、ほとんど利用されず、2020年6月に廃止されました。Cryptovoxelsは$COLRの買い戻しを発表しています。

資産の管理はEthereumブロックチェーンで行われますが、土地の上に作られる建物などのデータはどのように扱われるのでしょうか。Cryptovoxelsのプレーヤーはブラウザ上でビルトインツールを使ってオブジェクトを作れますが、.voxファイルと呼ばれるオブジェクトを記述したファイルを作って世界に配置する一連の流れを追ってみるとわかりやすいです。

具体的にどのように.voxファイルを生成し、Cryptovoxelsにオブジェクトを配置するのか、IPFS上のコンテンツ管理ツールを提供するPinataが自社サービスを使って説明しています。

How to Create a Vox File for Cryptovoxels | by Kyle Tut | Pinata | Medium

上のチュートリアル動画では、Cryptovoxelsのブラウザから使えるエディタではなく、MagicaVoxelというツールを使ってオブジェクトを作っています。オブジェクトが完成したら.voxファイルを書き出し、これをPinataからIPFS上にアップロードします。Cryptovoxelsで.voxファイルのIPFS上のURLを指定し、オブジェクトを配置します。

Decentralandでは、土地のコンテンツに関するデータは必ずIPFSに置かれていましたが、Cryptovoxelsの.voxファイルは必ずしもIPFS上にある必要はないようです。

 

Cryptovoxelsの課題と今後

Cryptovoxelsは、Nolan氏が中心の開発・運営体制で、Decentralandとは分野は同じでありつつ、ユニークなサービスを開発しています。独自トークンを廃止し、買い戻しを発表した点にもCryptovoxelsの柔軟さが垣間見得ます。一方で、サービスの目指すところにもよりますが、中央集権度合いや開発の継続性を考えると現在の体制には難点があります。

Cryptovoxelsの世界をより魅力的なものにするには、Cryptovoxelsを訪れるプレーヤー、世界を作っていくプレーヤーの両方を増やしていく必要があります。CryptovoxelsはDecentralandと比べ、土地をはじめとする資産価格は低く抑えられているものの、Ethereumのガス代も考えると誰もが気軽にプレーできるわけではありません。Ethereumのガス代については、今後セカンドレイヤー 技術を導入するなどして、解決されることが期待されます。
※ ブロックチェーン上の仮想世界が抱える問題について詳しくは、本ブログの記事「ブロックチェーン上の3D仮想世界Decentraland」の「Decentralandの課題」を参考にしてください。

Cryptovoxelsはまだ実験的な要素の強いサービスですが、尖ったサービスに成長する可能性もあります。Cryptovoxels はDecentralandに先駆けてすでにVRヘッドセットに対応しています。また、NFTのお店やギャラリーにも注力しているようです。実際、Cryptovoxelsでは、グラフィティアーティストPascal Boyartのフランス当局によって塗りつぶされたBitcoinに関するグラフィティーがBnoiit.Cによって再現され、OpenSea上で作品が分割販売されたり、デジタルアートを扱うSuperRealのCryptovoxels上のギャラリーでMelinda Wangのキュレーションで期間限定の展示Pure Form: Geometric Abstraction in Blockchain Artが開催されたりするなどしました。Cryptovoxelsには一部の先鋭的なアーティストやキュレーターにアピールする魅力があるのかもしれません。

Cryptovoxelでは作品は展示できるだけでなく、プレーヤーが作品を見ているその場からOpenSeaでの取引に移れます。また、Raribleのように誰もが作品や商品を作り、NFTにし、取引できるマーケットプレイスが出てきたのもCryptovoxelsの成長を後押しするかもしれません。

画像: Cryptovoxelsで展示されているトレーディングカード

NFTにできるのは画像だけではありません。Cryptovoxelsをはじめ.voxファイルに対応した仮想世界などで使えるオブジェクトもNFTにできます。前出のPinataがボクセルのNFTを作って売る方法をブログで紹介しています。

How to Create a Voxel NFT to Sell | by Kyle Tut | Pinata | Medium

これまでクリプトコレクティブルを集めても、値段の高騰を期待して取引する以外には、自身で鑑賞し、せいぜいブログで公開するといった使い方しかできませんでしたが、仮想世界に配置するという新しい用途が出てきたことになります。Cryptovoxelsで、今後アートとブロックチェーン、コンテンツとブロックチェーンの新しいあり方が示されるかもしれません。

 

おわりに

本記事では、Ethereumブロックチェーン上の仮想世界Cryptovoxelsについて解説しました。Cryptovoxelsは開発・運営体制の分散化の点で特に課題があり、見ようによってはまだまだ発展途上なアンダーグラウンドなサービスです。一方で、アンダーグラウンドならではのポジションを活かして、アートやコンテンツに焦点をあてた独自の方向性をCryptovoxelsが見出そうとしている点には期待したいところです。

今後、CryptovoxelsはDecentralandの競合となるのでしょうか、それともふたつの世界が共存することになるのでしょうか。ブロックチェーンは2つの世界を分断することもでき、逆にCryptovoxelsのアイテムをDecentralandに持ち込むと言った混ぜることも可能です。CryptovoxelsがDecentralandとともにどのようにブロックチェーン上の仮想世界の分野を牽引していくのか目が離せません。

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。

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