日本でも社会実装が進むブロックチェーン領域。このページでは、ブロックチェーン領域で起業したいと考えている方に向けて、
- 市場の特徴
- 具体的なプロダクトの事例
- 現在の動向
- 起業するためのアクション
などについてまとめています。
なお、将来的にブロックチェーン関連のサービスを立ち上げたいと思っている方向けのコミュニティとして、「Blockchain Biz Community」を運営しています。DAO型シェアオフィスやNPOのDAO化など、国内のWeb3事業に携わっているメンバーが運営に入っていますので、こちらもぜひご参加ください。
目次
ブロックチェーンの特徴は?
初めに、ブロックチェーンの特徴を抑えましょう。
もともとはビットコインの一部として開発された技術で、「ビットコインが誰から誰に送金されたか」という取引記録をすべて記録するための技術として生まれています。わかりやすく一言で表すと、「台帳」です。
台帳に記載される取引記録は、インターネットに接続されている端末であれば誰でも確認することができます。それゆえに、ブロックチェーンは透明性の高い技術とされます。台帳への記載はコンピュータの計算を通して行われるのですが、その際に、ブロックチェーンのネットワークにおける参加者の多数決で取引が「正しいもの」として記録されます。
それゆえに、ブロックチェーンを使うことで、中央集権的な管理者なしでも自律的に、トラストレスに、改竄されることなくデータを運用していくことが可能になります。
※このあたりのブロックチェーンの仕組みについては、「わかりやすい言葉で解説する、ブロックチェーンとは?」をご確認ください。
そんなブロックチェーンですが、応用することにより、既存の様々な産業において活用することができます。
ブロックチェーン領域で事業を立ち上げた事例
ブロックチェーンがどのように社会実装されているのか、取り組みをいくつか紹介します。
ブロックチェーン×個人情報管理の事例
初めに、保険申込データの情報共有をブロックチェーンにより行う取り組みを紹介します。
保険会社における申し込み書類など顧客データは、中央集権なサーバー内でデータ管理されるため、改竄リスクを抱えていました。
保険会社である三井住友海上は、bitFlylerと提携することでブロックチェーンを導入。オンチェーンのデータは改竄できないため、セキュリティ向上と保険申し込み書類の確認業務を効率化することが期待されます(詳細)。
ブロックチェーン×不動産の事例
続いて、ブロックチェーンによる所有権管理のビジネス事例を紹介します。
不動産は昔から人手の必要な事務手続きが多く、取引においては詐欺も起こりやすいといった課題があります。
そこで、土の所有権をブロックチェーンに記録することで、改竄不可能で不正のない取引、物件情報の透明性・流動性向上といった期待があります。
まだ実証段階ではありますが、世界でも各国が土地の所有権をブロックチェーンに記録するプロジェクトを立ち上げています。
日本の企業では、「電子契約くん」がブロックチェーンとスマートコントラクトを用いることで、不動産契約をオンラインで結ぶことを可能にしています。
※詳細は「ブロックチェーンと不動産」にて
ブロックチェーン×選挙の事例
3つ目に、安全な電子投票を可能にする事業の事例です。
選挙の効率化や利便性向上のため、これまでも「電子投票」の必要性が議論されてきました。しかし、電子投票にあたっては導入が進みづらい点がありました。理由としてはハッキングリスクです。
これに対して、電子投票のツールとしてブロックチェーンを活用することで、改竄が限りなく不可能に近い仕組みとすることができます。
2020年のアメリカ大統領選挙では、ブロックチェーンが活用される場面がありました。2019年のモスクワ地方選挙でもブロックチェーンベースでの投票が行われています。
※詳細は、「ブロックチェーンと選挙」にて
ブロックチェーン×IOTの事例
最後に、NFT認証のスマートロックについて紹介します。
オフィスの入退室管理システムに、「Akerun」というスマートロックがあります。
AkerunとAPI連携を活用したNFT認証を組み合わせることで、「NFTホルダーのみが入退室できる」スマートロックの実証実験が開始されています。
これにより、DAOやコミュニティ、会員制サロンがオンラインだけでなく、オフラインにおける活動も活発に行われることにも繋がります(詳細)。
これらの他にも、シェアリングエコノミーやマーケットプレイス、物流などの既存産業にブロックチェーンが組み込まれることで、イノベーションが期待されています。
ブロックチェーン関連の事業で起業するには
ここまで読み、ブロックチェーンがどのように社会実装されているのかが見えてきたと思います。一方で、あなた自身がブロックチェーンを用いて起業するにはどのようなステップを歩めばよいかわからないのではないでしょうか。
ここでは具体的に、年内に次のステップに進むためのアクションとしてできるポイントをまとめます。
ブロックチェーン領域で起業するための情報収集は一人でやらない
ブロックチェーン領域は、変化の早い領域です。2、3ヶ月インプットのための時間が作れないだけで、時代の流れにおいていかれてしまいます。
そんな市場であるため、フルコミットで情報収集できるならともかく、片手間で最先端の状況を把握し、起業に至るのは難易度が高いです。
おすすめは、その時々に注目されているニュースや事業の事例を掴める環境に身をおくことです。
例えば、用語解説、活用事例、海外サービスなどをまとめた当サイトBlockchain Bizの記事を読む。または、Twitterで業界におけるキーパーソンの発信をルーティンとして見ていくと効率的に情報収集ができます。
開発も自分一人で習得しようとしない
ブロックチェーン領域におけるインプットに時間を割き、流れをつかんでいる方だとしても、自らプロダクトを作るというのは難易度が高いです。Solidityをはじめとするブロックチェーン上のアプリ(DApps)を作るためのプログラミング言語がありますが、HTMLやCSSのようにスムーズに学べるほど情報がありません。
そのため、「ブロックチェーン領域で起業したい」と考えているのであれば、コミュニティに参加し、スキルを持った仲間を募るのが効率的でしょう。
何を作るかにもよりますが、スマートコントラクトを扱える言語を習得しているメンバーやマーケティングや営業経験のある人材がいれば、協力することにより起業までの時間短縮が可能です。
ブロックチェーンで起業するにはコミュニティを活用しよう
将来的にWeb3関連のサービスを立ち上げたいと思っている方やDApps開発を行いたい方向けのコミュニティとして、「Blockchain Biz Community」があります。
こちらはNFTやDAOに関する解説イベントや事業アイデアの壁打ち、出資検討を行っており、国内からWeb3事業やDAOの立ち上げを目指して現在100名ほどが活動しています。
このコミュニティはガイアックスにより運営されていて、ブロックチェーンで起業したい方にはもってこいの環境です。
具体的な実績としては、CryptoBase渋谷という国内Web3普及の拠点となるDAO型シェアオフィスの運営であったり、起業家向けのDAOシェアハウス運営であったり、NPOのDAO化に関する取り組みなどがあります。
ブロックチェーン領域に今から挑戦するには遅いか
結論としては、遅くないといえます。ブロックチェーン自体が生まれたのは2008年ですし、国内でも2022年に入ってからようやく人々のブロックチェーンに対する認識が変わり、プロダクトが増えてきています。
一方で、2022年までに基礎的な知識を身につけ、事業に関与した実績を持つ人たちが今後業界で影響力を持ち、他の産業のように参入障壁の高いビジネスを作っていくので、参入するなら今がチャンスです。
ブロックチェーン領域で起業することが向いている人
ブロックチェーン領域で起業することがわかったところで、この領域で起業することが向いている人の特徴をまとめます。
新しいイノベーションを興したい方
現時点では、あらゆる産業において、ブロックチェーンが活用されているサービスはまだ整備されていません。そのような領域において、課題を見つけ、新しい世界観を作りたい方に向いています。
チャンスを掴みたい方
既存産業には、すでに「大手」の会社があり、参入するにも資本面・ブランド面で参入障壁が高いという課題があります。
また、インターネットにおいても、GAFAなどによってソーシャルメディアにおけるプラットフォームビジネスの席は埋め尽くされています。これに対し、ブロックチェーン業界はまだまだ実証段階です。破竹の勢いでサービスがリリースされてはクローズとなっていますが、その中には次世代のGoogleとして残るプロダクトが出てくるでしょう。
変化を楽しめる方
ブロックチェーン業界は変化が激しいのが特徴です。1年前の常識は1年後には通用しません。毎日情報をキャッチアップしたり、新しいことを学ぶことが好きな方はブロックチェーン領域で起業する適性があるでしょう。
面白い働き方をしていきたい方
ブロックチェーン領域では、株式会社ではなく、DAOといった組織運営をスマートコントラクトに置き換えた新しい形の組織形態があります。よりフリーでギグな働き方になりますが、DAOから報酬を得たり、メタバースの中で働くなど、新しい働き方に挑戦したい方に向いているでしょう。
将来的に、英語を使って世界中のDAOで働くといった働き方になる可能性もあります。
ブロックチェーン領域で起業する際に存在するリスクと解決法
2022年に入ってから政府も「Web3を国家戦略に」と掲げたものの、新しい技術・手法に対してまだ政治家の理解や法整備が十分な状態ではありません。
具体的には、トークンで資金調達した際の課税などが課題として挙げられており、これにより優秀な国内のスタートアップ起業家がドバイやシンガポールに移住するといった課題も発生しています。
日本のルールはまだ明確でなく、どこで一線を超えてしまうのか判断が難しいのが現状です。そのため、ブロックチェーン領域で起業する場合は、自分一人で進めず、専門家を巻き込みながらプロダクトを作るのがおすすめです。
先述した「Blockchain Biz Community」では、日本ブロックチェーン協会の理事を務めるメンバーが運営に関わっており、プロダクトの開発時に相談することもできます。参加費用も無料です。
激しい変化の中に数多のチャンスが生まれているブロックチェーン領域。一人で抱え込まず、適切な環境の中で起業に挑戦しましょう。