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ブロックチェーン技術にて広く知られつつある仮想通貨の大きな特徴は、中央集権的な管理者なしに機能するという点です。しかし通常、通貨は管理者によって発行・供給されています。現行通貨は中央銀行によって発行されていますが、彼らが自由に通貨発行量を決めていることで、供給量や通貨の価格がコントロールされています。管理者なしに運営されている仮想通貨は、果たしてどのように通貨の供給量が決まっているのでしょうか。それは半減期という概念によって支えられています。今回は、半減期について見ていきましょう。

 

半減期の概要

半減期とは、マイニング(採掘)が行われる仮想通貨において、その報酬とされるマイニング報酬が半減する(半分になる)タイミングのことです。仮想通貨にはいくつもの種類がありますが、話を分かりやすくするためにビットコインに限定して話を進めます。ビットコインの場合は、プルーフ・オブ・ワークに参加することによってマイニングを行い、その報酬をもらうことになります。

分散ネットワークでの取引合意を可能にした革新的技術「プルーフ・オブ・ワーク」

2009年にリリースされたビットコインの最初のマイニング報酬は1ブロックにつき50BTCでした。ビットコインは10分毎に新たなブロックが生成されます。新たなブロックがどんどん追加されていきますが、マイニング報酬は210,000ブロック毎に半減し、6,929,999番目のブロックが最後のマイニング報酬になることが明確に決められています。これはビットコインプロトコル内に組み込まれているので、簡単に変更することはできません。

下図を見ればわかりますが、最初のビットコイン半減期である210,000番目のブロックは2012年11月28日に生成されており、マイニング報酬が25BTC に半減しています。2回目のビットコイン半減期である420,000番目のブロックは2016年7月9日に生成されており、マイニング報酬は12.5BTCに半減しました。

画像:Controlled supply

 

ビットコインの場合はこの半減期を繰り返し、最終的に2140年に全てのコインがマイニングされると計算されています。

 

半減期による供給量のコントロール

それでは、なぜこのような半減期が存在しているのでしょうか。それは、ビットコインの供給量を固定化させるためです。ビットコインの供給はマイニングの報酬からしか行われません。すなわちマイニングの報酬額が減っていくということは、コインの供給量が収束していくということになります。下図を見るとわかりやすいですが、マイニングによる報酬額が減っていくと同時に、コインの供給量が最終的なコイン総数である21,000,000に近づいていくのが見て取れます。全コインが発行され、2140年ごろに全ビットコインが市場に流通すると言われており、それ以降はマイニングによる報酬はありません。

これは過度なインフレを防ぐ作用があります。円やドル・ユーロといった現行通貨は中央銀行が発行すれば、いくらでも通貨を供給することができるので、貨幣の価値が下がりインフレーションを起こしえます。しかしビットコインは供給量がどんどん減っていくので、むしろデフレーションの傾向にあると言えます。

画像:Controlled supply

 

次の半減期

2016年7月9日の次の半減期(ETA:到着予定時刻(Estimated Time of Arrival))は2020年6月23日に訪れると予想されています。しかし100%この日に行われることが決まっているわけではありません。ビットコインの場合、半減期は約4年に1度訪れるとされていますが、それは4年という時間を基準に決めているわけではありません。

ビットコインはおよそ10分毎にブロックが生成されます。また、21,000ブロックごとに半減するということが正確な仕様であると上述しました。従って基準はブロック数なのですが、その21,000ブロックが生成される時間を計算すると、「21,000 x 10分 = 約4年」であるので、約4年と言われています。

しかし、実際のブロック生成の平均時間は、マイニングパワーが上がる状況では、10分より若干早くなっています。ビットコインには、ブロック生成される間隔が10分程度になるよう自動調整されますが、マイニングパワーが年々上がっている現状では、その若干早くなった時間が積み重なり、4年経たずとも21,000ブロックがマイニングされてしまう可能性が高いです。

画像:Bitcoin Block Reward Halving Countdown

 

マイニングと半減期

「取引手数料」に関する記事にて詳しく述べましたが、マイニングによって、ブロックチェーンに新たに追加されるブロックの生成に成功すると、プロトコルで事前に定められた額の報酬が、ビットコインによって支払われます。この報酬に取引手数料が含まれており、その内訳は、「新たに発行されるビットコイン」と「ユーザーが支払う取引手数料」です。

となっています。この二つの合計がマイニングを成功させたマイナーに与えられます。ここまで見てきたようにビットコインでは半減期を通じて①の新たに発行されるビットコインが減額されます。従って、発行上限に達してしまうと報酬がなくなってしまいます。しかし報酬には新たに発行されるコイン以外にも②の取引手数料が含まれているので、発行上限に達してもマイニングによる報酬が0になることはありません。このことから取引手数料は取引(トランザクション)データを次のブロックに含めるマイニングに対するインセンティブとして働きます。

マイニングや取引などのブロックチェーン技術を支えるインセンティブ「取引手数料」

従って、半減期によってマイニング報酬は減っていますが、取引手数料が年々上がっているため、マイニング報酬の総額は増えている傾向にあります。

画像:Miners Revenue

 

半減期による影響

ビットコインの最新の半減期は2016年7月9日ですが、6月から7月にかけて価格が上昇していたことがわかります。基本的に、通貨の供給量が減ると、価格は上がります。それは供給量が減ることで1コインあたりの価値が上がるからです。しかし、半減期であった2016年7月9日丁度にビットコインの価格が一気に上がったわけではなく、数か月前から徐々に上がっていました。これは様々な市場参加者が半減期を事前に織り込んでコインのやり取りをしていたためにであると考えられます。

しかし、ビットコインなどの仮想通貨は半減期によって必ず価格が上がる、という保証はありません。今までのように供給量が減ったから価格が上がるという単純な構造ではなく、コインの価格が低下する可能性も捨てきれません。例えば、半減期を迎えてマイニング報酬が減ってその後価格がなかなか上昇しない場合、マイナーは利益が出しにくくなります。すると、マイニングの競争倍率が低下してマイニングの寡占化が進み、結果としてネットワークの価値が弱まってコイン価格が低下する可能性も考えられます。

もちろん、ビットコインの半減期は現時点で既にいつ起こるか決まっているので、その要因はすでに価格に織り込まれていて、これから半減期が起きるタイミングでも価格が全く変動しない可能性もあります。

画像:Bitcoin Charts

 

半減期が存在する仮想通貨

ここまではビットコインの半減期について紹介しましたが、その他にも半減期が存在する仮想通貨はあります。日本初の仮想通貨として知られているモナコインは、2017年7月14日に半減期を迎えます。ビットコインはおよそ4年に1度、半減期が訪れますが、モナコインは3年に1度半減期が訪れる仕様になっています。

ビットコインの次に開発されたライトコイン(Litecoin)は、ビットコインと同様に4年に1度、半減期が訪れます。ライトコインの最新の半減期は2015年8月26日でした。

 

中央集権的な管理者がいない仮想通貨にとって、半減期という概念は通貨の供給量を自動的に決めるために必要不可欠な仕組みであることが分かったと思います。既存の円やドルといった通貨は中央銀行が供給量を自由に決められるために、膨大な量の通貨がここ数年で発行されており、その是非について様々な議論が行われています。もちろんどちらの仕組みも一長一短でありますが、半減期は通貨発行という仕組みに新たな策を提示したものと考えられ、これからの通貨のあり方を変えていく可能性を秘めているかもしれません。

 

関連記事:2回目の半減期を迎える仮想通貨ビットコイン(bitcoin)

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Aram Mine

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。

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