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本記事ではマイクロソフトと共同でコーヒー豆のサプライチェーンにブロックチェーンを適用しようとするスターバックスの取り組みを紹介します。

先端技術の導入に積極的なスターバックス

世界的なコーヒーチェーンのスターバックスで休憩をする、仕事をするという人も少なくないでしょう。スターバックスはアメリカのワシントン州シアトル発の企業で、イタリア式のコーヒーを提供する独特のスタイルはシアトル系と呼ばれることもあります。スターバックスが日本に進出したのは1990年代のことで日本でもすでに20年以上の歴史があります。

スターバックスというとコーヒーチェーンのイメージがありますが、技術導入に積極的な企業でもあります。2010年代前半には、スターバックスは決済サービスSquareに投資し、決済サービスを導入(現在は終了)しました。決済については、2018年、ニューヨーク証券取引所の親会社ICEがBakktを発表し、スターバックスの名前が挙がると、暗号通貨を使ってスターバックスでコーヒーを買えるようになるかもしれないと話題になりました。2019年に入ると決済導入計画の前進とともに、スターバックスがBakktの相当量の株式を保有していることが報じられました。

決済のほか、スターバックスは食品を扱う企業として、サプライチェーンにブロックチェーンを導入しようとしています。このプロジェクトはBean to Cupと呼ばれ、コーヒーの生産から提供までのトレーサビリティーをリアルタイムでかつより透明なものにしようとしています。本記事では以降、食品業界でのブロックチェーンの活用事例としてこのBean to Cupについて説明します

 

ブロックチェーンで実現するリアルタイムのトレーサビリティー

スターバックの全世界の店舗数は30,000店舗、コーヒーを調達する農園の数は世界38万ともいわれています。圧倒的な店舗数と商品量を扱いながら、スターバックスは2015年の時点ですでに99%倫理的に調達したコーヒーを提供していました。

これまで内部的にはトレーサビリティーを担保し、倫理的な調達を行なってきたスターバックスですが、ビジネスをより倫理的かつ持続可能にするため、2019年3月にリアルタイムのデジタルなトレーサビリティーを実現することを新しい計画の一部として発表しました。

Greener cups, fewer straws and tracing your coffee’s journey via app | Starbucks

2019年5月に開催されたマイクロソフトの年次カンファレンスMicrosoft Buildでは、このシステムの実現にMicrosoftのクラウドプラットフォームAzureとそのブロックチェーンサービスが利用されることが発表されました。

Starbucks turns to technology to brew up a more personal connection with its customers | Transform | Microsoft

ブロックチェーンの利用のしかたの詳細は発表されていませんが、情報は明らかになりつつあります。共有のブロックチェーンには改ざんが不可能な形でサプライチェーンの状態変化が刻々と記録されていきます。消費者はスターバックスのアプリを使うとサプライチェーンの情報の一部にアクセスできるようになります。

アプリはまだデモの段階で、現在動画が公開されています。アプリのユーザーは、コーヒーの袋の裏側にあるコードをアプリで読み込むと、どこの国の農場からきたものなのか、スターバックスとその国との関係、どこでローストされ袋詰めされたのか知ることができます。また、そのコーヒーを淹れるコツを読むこともできるようです。


Greener cups, fewer straws and tracing your coffee’s journey via app 中の動画より

コーヒーがどのような経路をたどってきたのかという情報は消費者だけではなく、農家にとっても有用な情報になります。スターバックスは、農家は自身が育てているコーヒーが輸出の基準にかなう品質のコーヒーであることを知ることで、モチベーションの向上につながるとし、コーヒー生産者の声にも応えるシステムにもしたいとしています。

‘Knowledge is valuable’: Coffee journey going digital for customers, farmers | Starbucks

 

スターバックスとブロックチェーンの今後

本記事で説明したスターバックスのBean to Cupは発表されたばかりのプロジェクトで、正式なリリース日は明らかにされていません。ただ、スターバックスとマイクロソフトという世界的な大手企業の共同プロジェクトであることから、その期待は高い非常に高いです。また、マイクロソフトとスターバックスはどちらもシアトルに拠点をおき、お互い緊密なことで知られています。二社はこれまでにも共同プロジェクトを行ってきたほか、スターバックスの現CEO Kevin Johnson氏はマイクロソフトの出身者です。

また、スターバックスはミッションに「人々の心を豊かで活力あるものにするために— ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」と掲げ、コーヒー豆のトレーサビリティや、プラスティック製のストローを廃止するといった、倫理面でも環境面でも心を豊かで活力あるものにすることに力を入れることがうかがい知れます。

スターバックスはBean to Cupのほか、Bakktでは決済で暗号通貨やブロックチェーンを採用しようとしています。コーヒーや独特のスタイルが世界で人気を集め、テクノロジーの採用にも熱心なスターバックスがブロックチェーンを通じてサービスレベルを高められるか、Bean to Cupが食品業界をリードする取り組みとなるのか、今後注目していきたいところです。

 

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。

スターバックストレーサビリティ食品

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