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Solanaとは

Solanaは、高速かつ安価にトランザクションを処理できることで期待されているPoS型のブロックチェーンです。

Solanaを開発するSolana Labsは、2018年創業のアメリカのサンフランシスコ・ベイエリアに拠点を置くスタートアップです。当初Loomという名称でしたが、Ethereum DApp向けのスケーリングソリューションを提供するLoom Networkと混同されたことから、Solana BeachにちなんでSolanaと改名されました。

創業者は、モバイル通信技術関連企業QualcommやクラウドストレージサービスのDropbox で分散システムを設計した経験がありPoHを発案したAnatoly Yakovenko氏(CEO)、Greg Fitzgerald氏(CTO)、Raj Gokal氏(COO)、Stephen Akridge氏らで、Solanaは、これまでに投資家・ベンチャーキャピタルからの出資で2000万ドル、トークンセールで180万ドルを集めました(2021年5月末のレートでそれぞれ約22億円と約2億円)。

Solanaの基盤となるPoH(Proof of History)というPoS型の独自の合意形成アルゴリズムのアイディアは2017年11月に発表され、2020年にメインネットのベータ版がリリースされました。同年には、Solana Foundationがスイスのジュネーブに設立され、プロトコルに関する知的財産すべてと16700万SOLが譲渡されました。

Solanaはオンチェーンで秒間5万件のトランザクションを処理します。ブロックが作成される間隔(ブロックタイム)は0.4秒とされ、2021年5月末現在、Solanaのウェブサイトによるとブロックタイムは数百から数千ミリ秒を推移しています。これは破格の処理スピードで、仮想通貨ネットワークの処理スピードの引き合いに出されることの多いVISAの毎秒最大65000件に迫る数字です。理論上、Solanaはより多くのトランザクションを処理できるとして、開発が進められています。

処理スピードと合わせて気になるのがトランザクション手数料ですが、トランザクション手数料の安さで頭角をあらわした Binance Smart Chainよりもさらに安く、1円をゆうに切るレベルで、2021年5月末現在、Solanaのウェブサイトによると平均トランザクション手数料は0.00025ドルです。

SolanaにはネイティブトークンSOLが存在し、ネットワークを利用する際の手数料に利用できるほか、SOLをステーキングしてバリデーターにデリゲートすることで利回りを得ることもできます。SOLの価格は2021年年初から高騰し始め、2021年5月末現在、少し落ち着いて30ドル前後を推移しています。

画像: SOLの価格推移(CoinMarketCapより)

SolanaはUSDCを発行するCircleやUSDTを発行するTether、分散型オラクルChainlinkといった有名プロジェクトとのパートナーシップのもと、エコシステムを拡大し、メインネットローンチから1年も経たない2020年末には100を超えるプロジェクトがSolanaに対応しました。

Year In Review 2020 | Solana: Build crypto apps that scale

 

Solanaの技術的概要

SolanaのCEOのYakovenko氏はTechCrunchの記事で、PoWからPoSへのシフトを肯定しつつも、PoSだけではマイナーやボットがトランザクションの順番を決めることができてしまい十分でないとしています。

イーサリアムよりはるかに高速だと主張するトップ暗号資産投資家たちに人気のブロックチェーンプラットフォーム「Solana」  |  TechCrunch Japan (2021年5月16日)

SolanaではPoH(Proof of History)という独自のアルゴリズムで、トラストレスなネットワークでトランザクションとトランザクションが起こった時間を共有します。Solanaでは、PoHによりネットワークと合意形成がシンプルになり、トランザクションを高速に処理できるといいます。

Solanaの全体像を見てみましょう。ある状態において、投票によって選ばれたリーダーノード(PoHジェネレータ)と呼ばれる単一のノードがユーザーから送られてきたトランザクションを順番に並べます。当該状態と順番に並べられたトランザクションを検証ノードが検証し、ネットワークの状態が確定します。

画像: PoHの概要(Solanaホワイトペーパーより)

PoHは、リーダーノードがイベント、つまりトランザクションを改竄不可能かつ証明可能な形で順序をつけて記録する方法で、Solanaのホワイトペーパーで基本的な考え方が説明されています。PoHでは、PoHシーケンスと呼ばれるインデックス、オペレーション、出力ハッシュが生成されていきます。下の表の初期状態のIndex 1でハッシュ関数に与える値はランダムな文字列で構いません。

画像: 2つのイベントが発生しているPoHシーケンス(Solanaホワイトペーパーより)

Index 2ではIndex 1のハッシュ関数の出力を入力とし、Index NではIndex N-1のハッシュ関数の出力を入力とし処理が続けられます。hashNは出力のハッシュ値は初期値にハッシュ関数をN回適用してのみ得られるため、時間が経過したことを表現できます。

Index 336のようにイベントが起きると、前段の出力hash 335にイベントのデータまたはそのハッシュ値をつなげてハッシュ関数の入力とします。イベントのデータまたはそのハッシュ値なしにはhash336は得られません。このため、イベントがIndex 336と紐づけられ、インデックスがタイムスタンプのような役割を果たします。Index 600でもイベントが起こっていて、このPoHシーケンスを見ている検証ノードはイベントの順序を一意に認識できます。

PoHシーケンスを作るのは単一のリーダーノードですが、PoHシーケンスの検証は、インデックスを分割することで複数のノードで高速に行えます。

このほか、複数のPoHジェネレータを同期して行う水平スケーリングや、リーダーノードを選ぶPoS型の投票の仕組みについて詳しくはSolanaのホワイトペーパーに記述があります。

Solana: A new architecture for a high performance blockchain v0.8.13

SolanaはPoHを中心に、スマートコントラクトの並列処理PoHに最適化されたPBFTなど、8つの技術でスケール、セキュリティ、分散化のトリレンマを解決しているといいます。個々の技術については、Solanaのブログに解説記事があります。

 

Solanaが注目を集める理由

高速かつ安価な処理をうたうさまざまなブロックチェーンが存在する中で、なぜSolanaが注目を集めるのでしょうか。

Solanaが注目を集める理由は、その処理能力とシンプルな構成によって得られる透明性やコンポーザビリティのメリットにあると考えられます。秒間5万件の処理能力は他のブロックチェーンを大きく上回るものです。加えて、トランザクションの処理はシャードやセカンドレイヤーを利用することなく、すべての処理がオンチェーンで行われるため、透明性が担保されます。また、開発者やプログラムはSolanaの単一のグローバルな状態にアクセスできるため、プロジェクト間のコンポーザビリティが向上します。

トランザクション手数料については、TRONやEOSのように手数料ゼロをうたうブロックチェーンもありますが、Solanaの0.00025ドルのトランザクション手数料は多くの人にとって気になるものではないでしょう。

そのほか、新進気鋭のトレーダーによるトレーダーのための仮想通貨デリバティブ取引所FTXと、FTXと創業者を同じくするトレーディングファームAlameda ResearchがSolana上に分散型取引所Serumを構築したり、USDCやUSDT、Chainlinkといった影響力のあるプロジェクトがSolanaに対応していたりするのもSolanaが注目を集める理由の一つといえそうです。

ただし、実際には、2021年4月末にSolana上の分散型取引所RaydiumでMedia NetworkのIDOが行われた前後では、Solanaの運営するRPCサーバーに高い負荷がかかり、同サーバーを利用するSolana上のサービスに障害が発生しました。この障害はブロックチェーンの処理能力に起因するものではありませんが、新しいプラットフォームでは予期せぬ問題が起こることも知っておきたいところです。


画像: 2021年4月末にSolana上のサービスで発生した障害についての説明
Solana Statusのtweetより)

 

Solanaのエコシステム

SolanaのウェブサイトではSolanaに関連するサービスを提供している代表的なプロジェクトの名前が挙がっています。

画像: Solanaに対応または利用している代表的なサービス(Solanaウェブサイトより)

Solanaに関連するプロジェクトについてはより詳細なリストがあり、2021年5月末時点では157のプロジェクトが名前を連ねています。

Ecosystem | Solana

このリストにあるすべてのプロジェクトがSolana上でサービスを提供しているのではなく、SOLを扱っている取引所なども含まれています。リストに名前が挙がっているプロジェクトの多くはDeFiをはじめ金融サービスが大半を占めています。

有名なプロジェクトとしては、USDCやUSDTといった米ドルにペグされたステーブルコインがSolanaのSPLという規格で発行されています。サービスでは、分散型取引所のSerumやRaydiumの名前を見聞きしたことがあるという人もいることでしょう。FTXとAlameda ResearchによるSerum、EthereumやBinance Smart Chain上のサービスに続くイールドファーミングやステーキングのフロンティアとしてのRaydiumに注目する人も少なくないようです。

既存の中央集権型の取引所ではSOLを取り扱う取引所があるほか、FTXやAscendExなどが仮想通貨の入出金にあたって一部の仮想通貨でSPL規格に対応していて、ブリッジを使うことなくSolana上に資産を移動できます。また、Warmholeというブリッジを使えば任意のERC-20トークンをロックしてSPLトークンを発行することで、ERC-20トークンをSPLトークンに変換できます。ERC-20トークンに戻すには、SPLトークンをバーンしてロックしたERC-20トークンを受け取ります。

このようにSolana内では金融を中心にエコシステムが発達し、外の世界とのつながりができつつあります。

 

おわりに

本記事では、高速かつ安価な処理を実現しつつあり、有名プロジェクトの利用が広がるSolanaについて説明しました。Ethereumをはじめ既存のブロックチェーンでは処理能力の向上を目指し、セカンドレイヤー技術に注目が集まっています。そのような中で、オンチェーンで大量のトランザクションを処理しようという独自路線を進むSolanaの試みは今後どのような進化を遂げるのでしょうか。

現在金融アプリケーションが中心のSolanaのエコシステムには、一部分散型ID、NFTに関するプロジェクトも見られます。今後Solanaのエコシステムが金融を超えてどのように広がりを見せるのか、外の世界とつながっていくのか注目したいところです。

 

Edited by Yosuke Aramaki

Akiko T.

エンジニアの経験と情報学分野での経験を活かして、現在はドイツにてフリーランスで翻訳・技術解説に取り組む。2009年下期IPA未踏プログラム参加。2016年、本メディアでの調査の仕事をきっかけにブロックチェーンや仮想通貨、その先のトークンエコノミーに興味を持つ。

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