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  • 更新日: 2020年9月9日

本記事では、異なるブロックチェーン同士を繋ぎ、BitcoinやEthereumなどのブロックチェーンが抱える課題を解決するためプロジェクト「Polkadot」を紹介します。

Polkadotとは

現在、BitocoinブロックチェーンやEthereumブロックチェーンをはじめ、多くのブロックチェーンプロジェクトが立ち上がりましたが、スケーラビリティー、ガバナンス、相互運用性、開発可能性、実用可能性などまだまだ多くの課題を抱えています。そんな中で、ブロックチェーン業界のキーマンたちによって創設されたWeb3 Foundation により、既存のブロックチェーンが抱えるの課題を解決すべく、異なるブロックチェーン同士を繋ぐプロジェクト「Polkadot」の開発がはじまりました。

Web3 Foundation は既存のインターネットの中央集権化されたウェブ構造を、完全に分散化されたウェブ構造にすることをビジョンとして掲げており、「Polkadot」はWeb3 Foundationにおける最初のプロダクトになります。

では、Polkadotとはどのようなプロジェクトなのか、その仕組みを紹介していきます。

Polkadot White Paper
Polkadot Light Paper

 

Polkadotはどのようにチェーンをつなぐのか

Polkadotがどのように異なるブロックチェーン同士を繋げているかを考える前に、まず、Polkadotがチェーン同士を繋げて何をしようとしてるのか、どのような世界を目指してるのか、を理解するとよいでしょう。

冒頭でも説明したようにPolkadotはブロックチェーン同士を繋げて分散化された新しいウェブを創造しようとしています。「新しいウェブ」の世界観は「Web3」と表現られることが多く、本記事では「新しいウェブ」の世界を「Web3」として説明します。

「Web3」と対比して、現在のウェブは「Web2」と呼ばれており、中央集権化されたウェブ構造になっています。Web2ではインターネットがGoogle、Amazom、Facebook、Appleといった巨大テクノロジーカンパニーによって支配されており、それらの企業がユーザーに関する膨大なデータを持っています。そして、その膨大なデータを解析してビジネスを行い、大きな利益を上げています。ですが、まれに集められたデータがユーザーの意図しない状態で勝手に使われたり、セキュリティーの脆弱性を突かれデータが流出してしまったりするなどデータの取り扱いに関する様々な問題が起きています。

この極度に中央集権化されたWeb2に対して、「Web3」では分散化されたウェブを作ろうとしています。Web3では分散台帳や分散ストレージにデータが記録され、各種権限はブロックチェーンなどの分散台帳によってユーザーが自ら管理できるようになります。そうすることで、ユーザー自身でデータを管理して、自分自身でそのデータの取り扱いの権限制御ができ、個人のプライバシーも守られている、このような分散化されたウェブの世界観を作ろうとしています。

このWeb3を実現するために、今動いている分散ストレージであるIPFSと分散台帳であるEthereumを使ってWeb3のような分散化されたウェブを作ることはすでに可能です。ですが、もっと広い意味でのWeb3を実現するために、多くのチェーンでもIPFSやEthereumと同様のこと、またそれ以上のことができるようになる必要があります。また、ブロックチェーン産業の現状をみてみると数多くのブロックチェーンプロジェクトが存在しており、今後も次々とブロックチェーンプロジェクトが出てくることが予想されます。それにより、これまでのチェーンでは不可能だった、Web3を体現できるさらに良いチェーンができる可能性は十分にあります。その時に、Polkadotはそれぞれのチェーンをシームレスに繋ぐことにより広義の意味でのWeb3を体現しようと開発されています。

画像:The 3 Revolutions of Web 3 より

 

では、本題に戻りますが、どのように異なるブロックチェーンを繋げているのでしょうか?Polkadotにおいて異なるブロックチェーンを繋げるために「Reley chain(リレーチェーン)」「Parachains(パラチェーン)」「Bridges(ブリッジ)」の3つの要素があります。

「Parachain」は、相互接続を可能にし互換性をもたせたい独自のチェーンのことを指します。Parachainとして相互接続をしたいチェーンは、専用に作られた独自のブロックチェーンだけではなく、BitocoinやEthereumなど既存の代表的なブロックチェーンも対象になります。しかし、これらのParachainには互換性をもたせたくてもそれぞれ合意形成方法が違ったり、ブロックの生成速度が違ったりと仕様がばらばらの状態です。これではそれぞれのチェーンを繋ぐことはできません。そこで、間に入るのが「Bridge」です。Bridgeがこの合意形成などの違いを吸収します。そして、このBridgeはParachain同士を直接つなぐのではなく、それぞれのParachainはBridgeを介して大きなチェーンである「Relay chain」つながります。このRelay chainにそれぞれのチェーンから書き出されたデータを記録し、他のチェーンからの参照を可能にしています。このようにRalay chainが間にあることによって異なるブロックチェーン同士が通信できるインターチェーンコミュニケーションを可能にしてます。

このように「Reley chain」「Parachains」「Bridges」をうまく組み合わせて異なるブロックチェーン同士を繋げ、分散化されたWeb3の世界を作ろうとしています。

図:Polkadot White Paperより

 

Polkadotのネットワーク参加者の役割

次にPolkadotの参加者とその役割について解説します。ここでの参加者をBitcoinで例えると、ブロックの生成や承認を行うノードのようなものとして捉えて頂くとわかりやすいですが、Polkadotにおいては参加者のあり方と役割が少し複雑になっています。Polkadotには「Validator」「Nominator」「Collator」「Fisherman」の4つのタイプの参加者がいます。

図:Polkadot White Paperより

CollatorはParachainのトランザクションをブロックとして集め、それを秘匿化された形でRelay chainに送る役割を担っています。また、Parachainのフルノードをサポートする存在でもあります。CollatorになるためにはDOTと呼ばれるPolkadotにおいて使われるトークンを直接ステーキングする必要があります。ステーキングとは暗号資産をブロックチェーンのネットワークにロックすることを指し、一時的に暗号資産を所有者の手で自由に扱えないようにすることを指します。

ValidatorはCollatorから送られてくるParachainのブロックを承認し、Relay chainに書き込む役割を担っており、Polkadotのネットワークにおいて最も重要な参加者となっています。Collatorと同様にValidatorになるためにはDOTトークンを直接ステーキングする必要があります。DOTをステーキングすることにより、Validatorが何か不正な行動を起こした場合にはステーキングされたDOTを没収するなどして、Validatorがネットワークに対して素直に行動するように促しています。

NominatorはValidatorを選ぶ役割を担っており、Validatorに直接DOTトークンをステーキングすることでValidatorを選出することができます。Nominatorは直接ブロックの生成は行わず、自らが選んだValidatorの生成したブロックが承認された時にValidatorから一部の報酬をもらう形になります。

最後に、Fishermanは他の参加者と違い直接ブロックの承認プロセスには関わらず、Validatorが不正な行動をしないかを監視する役割を担っています。 Validatorが不正な行動をした場合にそのValidatorからDOTトークンを没収することができ、Validatorを監視することでPolkadotネットワークを支えています。こちらも同様にFishermanになるためにはDOTトークンを直接ステーキングする必要があります。

このように、CollatorからParachainのトランザクションブロックが送られ、Nominatorによって選ばれたValidatorがブロックの承認を行いそのブロックをRelayChainに書き込み、Validatorが不正を行わないようにFishermanが監視をする、と言ったように4者がそれぞれの役割を担うことでPolkadotのネットワークを支えています。

 

Polkadotの可能性

Polkadotは異なるブロックチェーン同士を繋げると説明しましたが、異なるチェーン繋ぐことを指す「インターオペラビリティー」だけを解決しようとしているわけではありません。Ethereumのノード運用ソフトウェアを開発するParity Technologyにより開発されている「Substrate」と呼ばれるブロックチェーン開発のフレームワークがあります。このフレームワークを使うことでブロックチェーンを独自にカスタマイズできるようになり、今までのブロックチェーンで問題視されていた「スケーラビリティー」も向上されると言われています。また、Bitcoinとは異なりPolkadotのネットワーク参加者となるためにはDOTトークンをステーキングする必要があるため、参加者が不正な行動を取りづらい仕組みなっています。そのため、参加者全員で「セキュリティー」を担保しようと行動するようになっています。このように、Polkadotは「インターオペラビリティー」のみならず「スケーラビリティー」や「セキュリティー」においても大きな特徴を持っています。

また、ブロックチェーン産業構造の問題点として語られる「Fat protocol」を解決するポテンシャルをPolkadotは持っていると言われています。ブロックチェーン開発において、アプリケーション開発よりもプロトコル開発の方がマネタイズがしやすい、既存のブロックチェーンは制約のある中でアプリケーションを開発する必要がある、など様々な理由から多くのプロジェクトではプロトコル開発に偏っていました。ですが、Polkadotにおいてはガス代やトランザクションの処理スピードなど既存のブロックチェーンの仕組みに縛られることなく独自に設計できることから、直感的にアプリケーションを開発できるような仕組みになっています。そのため、Polkadotにより、現在のプロトコル開発からアプリケーション開発のフェーズに移行していき、今まで以上に多くのアプリケーションが開発されることが予想されます。

 

画像: Fat protocol https://www.usv.com/writing/2016/08/fat-protocols/

 

Polkadotの今後

Polkadotは2017年10月にICOを通じて500万DOTを約150億円の価格で資金調達し、その後、2019年9月には50万DOT配布し65億の資金調達を行なったと推定されています。

Polkadotを取り巻く環境を見てみると、サンフランシスコにあるCommonwealth LabsがSubstrateのスマートコントラクトプラットフォームEdgewareを開発したり、ブロックチェーン関連事業を手がけるLayerXが秘匿化されたデータを扱うためのブロックチェーンZerochainをSubstrateで開発したり、WEb3 Foundationから4回もの助成金を獲得しているStake TechnologiesがSubstrateの機能を拡張するPlasmを開発したりなど、多くの企業がPolkadotに関連したサービスを開発しています。また、Ethereumの共同創業者兼元CTOであるGavin Wood氏もPolkadotの開発に関わっており大きな注目を集めています。今後、「インターオペラビリティー」「スケーラビリティー」「セキュリティー」を解決した先に、Polkadotにおいてどのような革新的なアプロケーションができるか注目したいところです。

 

 

Gaiaxでブロックチェーンの研究開発を担当。ブロックチェーン業界また開発者コミュニティの発展のため、ブロックチェーンを用いたアプリケーションを開発し、それらをオープンソースとして公開する。

Polkadot用語集

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