これまでにウォレットアプリについて、Androidで使えるMycelium、iOSで動くbreadwalletを紹介しました。今回はウォレット機能を備え、チャット内でコインを送れるメッセンジャーアプリGetGems(ゲットジェムズ)を紹介します。
(アプリケーションは2016年7月現在のものです。)
ウォレットについて詳しくは「ビットコインウォレットアプリ「Mycelium」使用体験レポート」、「ビットコインウォレットアプリ「breadwallet」使用体験レポート」をご参照ください。
目次
GetGemsとは
GetGemsは、世界中で1億人のユーザーがいるメッセンジャーアプリTelegramと、ビットコインのほかGetGemsの利用に応じて受けとるGetGemsの独自コインGemsを扱うためのウォレットを組み合わせたアプリです。一部報道ではセキュリティ面が不安視されているTelegramですが、Telegramのメッセージング機能とGetGemsのウォレットの相乗効果で、一般的なウォレットアプリのようにコインをやりとりできるだけでなく、GetGemsユーザー間では長いアドレスやQRコードを意識することなく、メッセージを送受信するように簡単にコインをやりとりすることができます。
GetGemsの独自コインGems
GetGemsのユニークな点は、ユーザーのGetGemsへの貢献度に応じて独自のコインGems(正式にはコイン名GEMZ、単位Gemsですが、ここではGemsと表記します) が還元される点にあります。通常、アプリやサービスの広告掲載による収益はプラットフォームのものになりますが、GetGemsでは予め原資として確保されているGemsに加え、広告料として支払われたGemsがユーザーの貢献度に応じて還元されるのです。
具体的にどのようにしてGetGemsからGemsを獲得できるのでしょうか。直観的なものでは、日々アプリを起動してDaily Giveaway Bonusを獲得する、FacebookページをライクしてFacebook Like Bonusを獲得する、新しいユーザーを招待してInvite Bonusを獲得するといった方法があります。さらに、一定の条件をクリアして、AirDropが有効になると、アプリの利用度合いや招待したユーザーの数、招待したユーザーがどのくらいアクティブかといったデータをもとに計算されるGetGemsへの総合的な貢献度によって、日々Gemsが分配されるようになります。
GetGemsを利用して貯めたGemsは、GetGemsのユーザー間でやりとりできるほか、アプリ内でAmazon、eBay、iTunes、Starbucksといったメジャーなサービスのクーポンに交換できます。その他のコインへの交換する場合の参考として、取引所のリストがGetGemsの日本の情報サイトに公開されています。
http://www.getgems.jp/exchanges.html
それでは、概要がわかったところで、さっそくGetGemsを使ってみましょう!
GetGemsのインストール
GetGemsはiOS、Andoroid、ウェブブラウザ向けにTelegram with GetGemsという名称で公開されています。ここではApp StoreからiOSにアプリをインストールしました。
- iOS https://itunes.apple.com/app/id942306232
- Android https://play.google.com/store/apps/details?id=org.getgemsmessenger.app
- ウェブブラウザ https://web.getgems.org/
「入手」ボタンに続いて表示される「インストール」ボタンをタップしてインストールを開始します。インストールが完了したら、「開く」ボタンをタップしてアプリを起動します。
GetGemsのユーザー登録
アプリの初期画面「Start Messaging」からユーザー登録を進めます。国を指定し、電話番号を入力して「Next」をタップすると、数分後にSMSでコードが通知されます。コードを入力し登録を完了しましょう。
GetGemsでのメッセージのやりとり
GetGemsをメッセンジャーとして使ってみます。「Chat」(チャット)と呼ばれるメッセージのやりとりでは、スマホでSMSをやりとりするように直観的にメッセージを送受信できます。テキストメッセージと合わせて、写真・動画、ファイル、場所、連絡先、そして後述しますが、コインも同じ画面で添付ファイルのように送信するこができます。
チャットの相手は、電話番号を入力する、スマホの連絡先をContactに読み込んで招待する、FacebookやTwitterから友達を招待するなどして追加できます
GetGemsのウォレット機能
GetGemsではGemsだけでなくビットコインも扱えますが、ビットコインのウォレットは別途設定する必要があります。画面下のメニュー「Settings」をタップし、設定画面を開きます。「Setup Bitcoin Wallet」選び、新しいウォレットを作成(「New Wallet」)または既存のウォレットを設定(「Recover Wallet」)します。ウォレットの設定が完了すると、設定画面の「Setup Bitcoin Wallet」と表示されていた部分がビットコインに関する項目に変わります。
画面下のメニューからウォレットを開いてみましょう。最初に表示されるGemsの残高を画面右から左にスワイプすると、ビットコインの残高と利用履歴に表示が切り替わります。
GetGemsでのGemsやBitcoinのやりとりは、一般的なウォレットアプリと同様に、アドレスやそれを表すQRコードを介して行うことができます。コインを受け取りたい場合はウォ
レットの画面左上のリクエストアイコンを、コインを送りたい場合は画面右上の送金アイコンをタップして、手続きを開始します。
一般的なウォレットの仕組みやコインのやりとりについては「Myceliumを使ってみました」、「Apple Watchに対応したbreadwalletを使ってみました」をご参照いただいて、ここからはGetGemsのハイライト、GetGemsユーザー同士のチャット内でのより簡単なGemsやビットコインのやりとりをみてみましょう。
GetGemsユーザー同士のコインのやりとりはとても簡単
GetGemsがTelegramメッセンジャーとウォレットを組み合わせたアプリであることの最大の利点がここにあります。GetGemsユーザー間では、複雑なアドレスを意識せず、チャット内で写真やファイルといった添付ファイルを送るかのように金額を指定してコインを送ることができるのです。
メッセージ内でGemsを送ってみましょう。チャット画面左下のクリップのアイコンをタップすると、相手に送れるもののリストが表示されます。写真・動画、ファイル、場所、連絡先に続いて「Send BTC」「Send Gems」があります。「Send Gems」をタップして、次の画面で金額を入力し「Send」ボタンをタップすると、チャット画面に「Hey, I’ve sent you 10 gems」とメッセージが表示されます。
ビットコインについてもGems同様にチャット内で送金できるはずなのですが、執筆時の環境(iPhone 5 / iOS 9.3.2 / GetGems 1.3.4)でチャット画面でBitcoinを送ろうとすると「X is not a GetGems member(送金相手はGetGemsのメンバーではありません)」 とエラーメッセージが表示され、送金をすることができませんでした。ただ、Android版のGetGemsではチャット画面から問題なくビットコインを送金できましたので、今後のiPhone版のアップデートを期待したいところです。
気になる手数料は、GetGemsユーザー間でのGemsのやりとりは手数料無料ですが、Bitcoinのやりとりについては金額に応じて0.000019BTCから0.0001BTC手数料がかかるとのことです(アプリ内「設定」→「FAQ」より)。
おわりに
今回はGetGemsとその使い方を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。2016年7月現在1Gemsは0.002USDで、Gems獲得のメリットはそこまでないと感じた方も少なくないかもしれません。ただ、AirDropによるGems獲得の効果は未知数で、GetGemsユーザーの中には日々収益をあげている人もいるようです。 執筆環境でも使用し始めて数日するとAirDropが有効になり、0.58Gemsと微量ですがGemsが分配され始めました。 また、GetGemsユーザー間のコインのやりとりについては、一般のウォレットアプリに比べてよりシンプルになっているといえるのではないでしょうか。まずはウォレット機能付きメッセンジャーとしてGetGemsを使い始めてみるのもよいかもしれません。