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スタートアップ8月

ブロックチェーンスタートアップの動向として、毎月、資金調調達を実施したサービスを紹介して来ました。本記事では、複数のサービスを紹介するのではなく、ブロックチェーンスタートアップの中でのトップランナーであるUniswapに絞ってより詳しく紹介していきます。
今回は、「Progressive Decentralization: A Playbook for Building Crypto Applications」の記事の内容に沿って、Uniswapがどのように発展していったかを分析していきます。

「Progressive Decentralization: A Playbook for Building Crypto Applications」の概要

「Progressive Decentralization: A Playbook for Building Crypto Applications」は、多くのブロックチェーン企業に投資しているa16zが運営するメディア「Future」の中の一記事です。当記事は、a16zがブロックチェーン企業のファウンダーと話す中で見つけた、成功のための3つのステップについて書かれた記事になります。ブロックチェーンサービスを立ち上げる手順とその理由が詳しく書かれているので、ブロックチェーンのスタートアップを考えている方は是非一度読んでみてください。

Future:https://future.a16z.com/

下記、3ステップの簡単なまとめになります。

  1. Product / Market Fit
    1. 起業初期は、提供しようとしているサービスが、顧客の課題を解決し、適切な市場に受け入れられる状態になることに注力すべき。この時は、トークンの発行や分散化などをはからず、少数で素早く仮説検証を行いプロダクトを磨く必要がある。
  2. Community Participation
    1. 利用者層の増加、開発エコシステム、ネットワーク効果などを感じたら、プラットフォームによるリスクを少なくするために、コミュニティーを巻き込むことに時間を割き始める。
      1. Incentive (Fee)
        1. 経済的なインセンティブはより活発な貢献を促す方法の一つ。ただ、ブロックチェーンアプリケーションの多くはオープンソースであるので、ネットワーク効果でスイッチングコストを上げるなど対策をして導入する方がいいかもしれない。
      2. Distribution (Tokens)
        1. トークンの配布はプロジェクトの参加意欲を高め、基本的な価値を効果的に分配する手段。だが、公平かつ効果的な配布を検討する必要がある。
        2. まず、限られたメンバーでトークン配布のテストをする。
        3. 次に、過去の貢献に対する公平な分配と、継続的な参加に対する将来のインセンティブを考えて、コミュニティーに分配する。
  3. Sufficient Decentralization
    1.  コアチームがサービスのオーナーシップを譲渡し、コミュニティーによる所有や運営がされることにより、プラットフォームのリスクを軽減させる。今までのスタートアップは取引所に上場することが目標の一つだったが、ブロックチェーンスタートアップは、コミュニティーに引き継ぐこと、”Exit to Community”へと変化していくでしょう。 

これらのステップをUniswapの歴史と照らし合わせていていきます。

UniswapのProduct Market Fit

2017年頃から、EthereumでのDEXに関する議論はされていました。その議論を受けてか、に2017年にはEtherDeltaと呼ばれるDEXが存在していました。EtherDeltaは暗号資産取引所でよく使われている板取引のDEXになります。板取引とは、暗号資産を売買したいという注文を並べて、取引所の他の利用者がそれらの注文の板で欲しい値段のものがあれば売買が成立するというものです。

単純に暗号資産を交換したい利用者にとって、板取引は複雑で使い勝手も良いものではなかったため、EtherDeltaは大きく成長するには至りませんでした。

Ether Delta

画像:Ether Delta

Ether Delta : https://www.coingecko.com/buzz/complete-guide-to-using-forkdelta
AMMに関する提案:https://blog.gnosis.pm/building-a-decentralized-exchange-in-ethereum-eea4e7452d6e

その後、BancorやKyperswap、0xなどのDEXも登場しました。

Bancorでは誰でも暗号資産の流動性を提供できました。しかし、「簡単に」流動性を提供できていませんでした。Bancorでは独自トークンであるBNTとのペアでしか流動性プールを作成できませんでした。したがって流動性を提供したい場合はBNTをどこかで購入する必要がありました。また、ETHをDAIに変換したい場合などは、全ての暗号資産はBNTとのペアとなっているため、ETH → BNT → DAI と変換することになり、BNTを経由する必要がありました。

また、Kyberswapでは取引される暗号資産の取り扱いが運営により管理されており、誰でも自由に通貨を追加することはできませんでした。

これらのDEXは板取引のような複雑さはなく、直感的に暗号資産を交換できるようになりました。ただ、交換できる暗号資産の種類が限られていたり、交換する際のレートが悪かったりなど、依然として多くの問題を抱えていました。

Bancor:https://bancor.network/
KyberSwap:https://kyberswap.com/

そこで、2018年11月にUniswapが登場しました。Uniswapの最初のバージョン(V1)では、誰でも「簡単に」暗号資産の流動性を提供できるようにしました。BancorではBNTとのペアでしか流動性プールを作成できなかったのですが、UniswapではETHで流動性プールを作成できるようになりました。Ethereumのアプリケーションを使う人であれば誰でもETHを持っているため、流動性提供を「簡単に」行うことが可能になりました。

さらに、Uniswapの2つ目のバージョン(V2)では、ERC20トークン同士の流動性プールを作成できるようになりました。このことにより、より簡単に誰でもトークンの上場をできるようになりました。

このように、UniswapはDEXの中では遅れて登場したサービスであるものの、DEXの問題をしっかりと把握し、的確なサービスを開発し、改良を重ね、「Purduct Market Fit」を実現しています。

UniswapのCommunity Participation

次に、Uniswapがどのようにコミュニティーを巻き込んだのかについてみていきます。

Fees

まずは、Fee(手数料)についてです。Uniswapでは流動性プールに暗号資産を供給するとすると、そのプールでの取引額の数%(V2の場合は0.25%)が供給量に応じて分配されます。例えば、プール全体が$10,000のETH-DAIの流動性プールに$1,000を提供していて、ETH-DAIの取引が$200分行われたら、$2,000 * 0.25 * ($1,000 / $10,000) = $5の手数料が入ることになります。
誰でも流動性が提供でき、流動性の提供者は手数料を稼ぐことができるので、多くの利用者を惹きつけます。さらに、流動性が増えるにつれて交換する際のレートが良くなるので、取引が活発になり、手数料がさらに増えていきます。
このように手数料を利用者に還元することでコミュニティーに好循環が生まれ、ネットワーク効果によりスイッチングコストを大きくしています。

Token

次にトークンの配布についてみていきます。2020年9月にUniswapの独自トークンであるUNIの発行を発表し、下記の条件を満たすアドレスにUNIを配布しています。

・2020年9月1日以前にUniswapを使ったことがあるアドレス
・2020年9月16日~11月17日で特定のプールに流動性を提供したアドレス

そして、UNIトークンはUniswapのガバナンスに使うとしています。ガバナンスとは、UNISWAPに関する様々な取り決めのことを指しており(プロトコル手数料の変更、Uniswap Grantになど)、UNIを持ってる人がそれらの取り決めに関する決定権を持つことになります。

Introducing UNI:https://uniswap.org/blog/uni/

実際に数値で見てみると、全てがUNIの配布によるものとは決定できませんが、2020年9月以降にUniswapにロックされている総額は右肩上がりに増えてます。

DeFi Pulse Uniswap

画像:DeFi Pluse Uniswap

Uniswap の Decentralization

UNI保有者にガバナンスの決定権を移行し分散化を図ろうと試みています。しかし、まだ課題は残っており、UNIを保有しているアドレスが偏っていたり、暗号資産取引所のUNI保有率が高かったりします。そのような状況で、UNIの保有者による提案が本当の意味で分散しているのか、正当なものなのかは議論の余地がまだあります。
完全に分散化したとは言えないまでも、UniswapがUNIを発行して多くの人がUniswapの意思決定に携われるようになったことは事実です。実際にVoteのページを見てみると、様々な提案がされており、しっかりそれに対する投票も行われています。
分散化への道を進んでいることは確実なので、これからどのように変化していくのか、引き続き動向を追っていきます。

uniswap vote

画像:Uniswap Voteのリスト

Uniswap Vote : https://app.uniswap.org/#/vote
The UNI Token: Is Uniswap Really Decentralized?:https://insights.glassnode.com/uni-token-is-uniswap-really-decentralized/

おわりに

今回はUniswapに絞ってその動向を追いました。a16zの記事内のステップを着実にこなしており、ブロックチェーンサービスのお手本となるような成長をしていることがわかりました。

ここで注意しておきたいことは、成功するためにはPlayBookのステップや手法が必ずしも正しいものではないということです。実際に、最初からトークンを発行し成長していったプロジェクトもあります。
一番大事なことは、最初のステップである「Product Market Fit」だと感じます。いくら独自のトークンを発行しても、使えるプロダクトでないと、うまくいくことはありません。サービスを考える際は、「どこに独自の価値があり、市場に求められているのか」をしっかり見極めることが重要だと思います。

今後も、一つのプロジェクトの歴史を紐解く記事を書いていきます。


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Yosuke Aramaki

Yosuke Aramaki

Gaiaxでブロックチェーンの研究開発を担当。ブロックチェーン業界また開発者コミュニティの発展のため、ブロックチェーンを用いたアプリケーションを開発し、それらをオープンソースとして公開する。

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