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Coinbaseとは

Coinbaseは2012年創業のアメリカの老舗大手暗号通貨取引所です。暗号通貨の黎明期から長らくサービスを提供してきたことや、法令を遵守する姿勢と合わせ、初心者でも使いやすいインターフェイスと取扱トークンの豊富さから大手取引所としての地位を築いてきました。

Coinbase – Buy and Sell Bitcoin, Ethereum, and more with trust

英語版のWikipediaのCoinbaseについて書かれたページによると、2023年のCoinbasenの売上高は約30億ドル、純利益は9490万、3000人以上の従業員をかかえる大企業です。Coinbase Venturesでは暗号通貨プロジェクトへの投資を行っています。Coinbase Venturesのポートフォリオのページには多数のプロジェクトが掲載されています。

Coinbase Ventures ポートフォリオ

2024年に入ってアメリカではビットコインの現物ETFが承認されましたが、Coinbaseは、ETFを提供する企業に対してビットコインを保管するカストディーサービスを提供するカストディアンとしての役割も果たしています。アメリカで法令を順守し個人と企業にサービスを提供するCoinbaseは、同じく大手取引所であるBinanceとは対照的です。

 

Baseブロックチェーンとは

2023年2月、CoinbaseはEthereumレイヤー2ネットワーク「Base」を発表し、テストネットをローンチしました。メインネットは同年8月にローンチされました。Baseは、Coinbaseのプロダクトとユーザーのためのブロックチェーンであると同時に、誰でもアプリケーションを構築できるオープンエコシステムでもあるとしています。

Baseは、Ethereumメインネットのレイヤー2ブロックチェーンOP Mainnetを提供するOptimismとCoinbaseが共同開発し、Optimismのレイヤー2ブロックチェーン開発キットOP Stackが使われました。OptimismのOP StackやSuperchain構想については本ブログの記事「L2構築キットのOP StackとOP Stackベースのチェーンを包括したSuperchain構想の解説」を参考にしてください。

Baseは、Ethereumエコシステムのスケーラビリティと効率性を向上させることを目指しています。BaseはEVMと互換性があり、Baseのウェブサイトによると手数料はEthereumの1/10とのこと。Coinbaseは独自トークンの発行は予定していないとし、Baseでの手数料はETHで支払われます。

レイヤー2ネットワークの情報を扱うL2Beatによると、2024年2月末時点でBaseにロックされた資金の総額(TVL)は975百万ドルで、Ethereumのレイヤー2ネットワークのTVLのランキングでは5位につけています。Baseはテストネットのローンチから1年あまりで急成長しました。この背景にはCoinbaseとOptimismの知名度や影響力があったと言えるでしょう。

画像: レイヤー2ネットワークのTVLランキング(L2Beatより)

Baseを利用すると手数料を抑えて、Coinbasenのエコシステムに便乗できるなど、メリットがある一方で、Coinbaseがシーケンサを運用しているため、ネットワークが中央集権化していることを指摘する声もあります。シーケンサとは、レイヤー2ネットワーク上で発生したトランザクションを受け取り、一定の順序で処理してまとめ、結果をEthereumのメインネットワークに書き込む役割を持つノードです。2024年2月現在もこの中央集権化した状況が続いています。Coinbaseは、Baseを発表した当時のブログ記事で「時間の経過とともにチェーンを徐々に分散させることを計画している」としています。今後、当初の説明通り、Baseのネットワークの分散化が進むか注目したいところです。

Baseについては公式の技術文書が公開されているので、詳しく知りたい、開発をしてみたいという人は以下のウェブサイトを参照するとよいでしょう。

Base – Documentation

Baseのエコシステム

Baseのウェブページによると、新しいものから他のチェーンで有名なDeFiをはじめとするアプリケーションまで、すでに数多くのアプリケーションがBase上で稼働しています。この背景には、CoinbaseとOptimismが開発に関わっていることからBaseの将来性が有望視されているほか、BaseはEVMと互換性があり既存のアプリケーションを移植しやすいこともあると考えられます。

Baseのエコシステム

DeFiに関する情報を提供しているDefillamaによると、BaseはDeFiのTVLでは13位ですが、プロトコル数は219で7位につけています。

画像: チェーン別のDeFiのTVLランキング(Defillamaより)

また、Coinbase VenturesとOptimismは、ハッカソンなどを通じて、Base上のアプリケーションを開発するプロジェクトに助成金を提供し、エコシステムの拡大を目指しています。

Base Grants | Calling Based Builders

Baseを使ったアプリケーションとして、日本のDeNAが2024年1月に、複数プレイヤーが同時にプレイする早押しWeb3クイズゲーム「trivia.tech」をリリースしました。trivia.techの利用は無料で、ゲームに勝ったプレイヤーはNFTをミントできます。

Web3ネイティブへ向けた新感覚ブロックチェーンゲーム マルチプレイ早押しWeb3クイズゲーム「trivia.tech」提供開始 | 株式会社ディー・エヌ・エー | DeNA

今後、DeNAに続く日本の企業やサービス、ゲームが出てくるのかも見ものです。

 

おわりに

2020年には、DeFiサマーを経て、大手取引所BinanceがEthereumのコードをもとにEVMとの互換性を持つBinance Smart Chain(BSC)をローンチしました。暗号通貨界隈が盛り上がりを見せる中で、物議を醸しつつもBSCはアプリケーションとユーザーを集めていきました。

2024年春には、ビットコインの半減期が控えています。過去2回、2016年と2020年の半減期の後には、大きな暗号通貨ブームが到来しました。2024年1月にはアメリカでついに現物のビットコインETFが承認され、より多くの人に暗号資産が認知され、保有や運用が広がる可能性もあります。

規制を遵守しサービスを展開するアメリカのCoinbaseが、今後Baseをどのように展開し、エコシステムを拡大していくのか注目する価値はあるかもしれません。

エンジニアの経験と情報学分野での経験を活かして、現在はドイツにてフリーランスで翻訳・技術解説に取り組む。2009年下期IPA未踏プログラム参加。2016年、本メディアでの調査の仕事をきっかけにブロックチェーンや仮想通貨、その先のトークンエコノミーに興味を持つ。

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