ブロックチェーンを利用したシェアリングエコノミーのサービスのひとつとして、本連載ではライドシェアにはじまり様々なものやサービスをシェアするためのコミュニティーの構築を目指すArcade Cityについて紹介しました。今回はArcade Cityから派生したシェアリングエコノミーのプラットフォームSwarm Cityを紹介します。
Swarm Cityとは
Swarm CityはArcade Cityから派生したサービスで、Arcade City同様、ライドシェア、ホームシェアなど、あらゆるものを共有可能にすることを目指すEthereumブロックチェーンを利用したシェアリングエコノミーのプラットフォームです。(Arcade Cityについては本連載「ブロックチェーンとシェアリングエコノミー – Arcade City」で詳しく紹介しています。)
Arcade Cityから派生したと書きましたが、BitcoinやEthereumに関するニュースメディアCointelegraphの穏やかでないタイトルの記事にあるように、Swarm CityはArcade Cityの創業者Christopher David氏を排して、名称を新たにしたプロジェクトといった方がよいかもしれません。
Arcade City a.k.a. “Uber Killer” Hard Forks, Founder Claims Fraud (Uber キラーとして知られるArcade City、ハードフォーク、創業者は詐欺だと主張)
Arcade Cityから派生した経緯もあり、Swarm CityはArcade CityのトークンARCをSwarm CityのトークンSWTに1:1で両替するところからサービスの利用が始まります(SWTはARCと交換する以外にEtherdeltaやBitsquareで両替して入手することができ、Swarm CityのFAQによると将来的にはドルやユーロなどで購入できるようになるとのことです)。
Swarm Cityのウェブサイトでアカウントを作成すると、Terminalと呼ばれるシンプルなインターフェイスで両替したSWTをやりとりすることができるようになります。
現在公開されているリリース第一弾のTerminalの機能はここまでですが、今後どのようにSwarm CityであらゆるものをシェアできるようになるのかTerminalに続いてリリースされる予定のBoardwalkの構想がスケッチとともにSwarm Cityのブログで紹介されています。
Swarm City Boardwalk Overview – Swarm City Times
Boardwalkでユーザーは#needaride(乗せてください)といったハッシュタグをつけてリクエストを作成し、他のユーザーがそれに応じる形で取引が成立します。Boardwalkではユーザーの位置情報に基づいて人気のハッシュタグが表示され、ユーザーは応えられるリクエストを見つけて条件を提示、契約を履行し、リクエストもとのユーザーから対価が支払われます。
契約、支払いといったキーワードからEthereumブロックチェーン、スマートコントラクトを思いうかべたという方もいるかもしれません。続いてSwarm Cityとブロックチェーンについて見てみましょう。
Swarm Cityとブロックチェーン
Swarm CityはEthereumブロックチェーンを利用したサービスです。SWTはEthereumブロックチェーン上のトークンで、前掲のBoardwalkの構想を示したブログ記事では、トランザクションや評判に関する情報はEthereumブロックチェーンに保持されるとしています。また、取引について同記事では、リクエストしたユーザー、リクエストにこたえるユーザー双方が取引の対価と同じ額のSWTを預け、取引の履行またはキャンセルといったイベントをきっかけに金銭の分配が行われるといった仕組みを解説していることからスマートコントラクトの形で実現されるでしょう。
今のところ断片的な情報が構想として出ているにとどまりますが、今後リリースとともに技術的な詳細が明らかになることが期待されます。
Swarm Cityの今後
Swarm Cityの今後のリリースとして、BoardwalkとStorefrontのリリースが予定されています。BoardwalkではP2Pでリクエストを出したり応えたりする基本的な機能がリリースされ、続くStorefrontではユーザーインターフェイスが強化されるといいます。
Boardwalkのリリースは当初予定されていた2017年3月末よりも少し遅れているようですが、ブログに投稿された最新の開発状況を伝える記事によると、Boardwalkの開発は4フェーズにわたり、第1フェーズではTerminalの改善に取り組み、近日中にコミュニティーでテストされ一般公開されるようです。開発チームは現在Boardwalkの開発第二フェーズにあり、リクエストの投稿したり、リクエストに対してオファーを出したりできるようにするとのこと。
Swarm City Dev Update April 11, 2017 – Swarm City Times
今後のリリースと、Swarm Cityがどのようにライドシェアなどあるひとつの対象でなく「あらゆるもの」をシェアできるプラットフォームを実現するのか注目したいところです。