Skip to content

Binanceとは

Binanceは、2017年7月に創業した暗号通貨取引所です。2017年7月というと、2017年後半の暗号通貨ブームの直前です。Binanceは、数多くのアルトコインの取引市場や、現物取引にとどまらない金融商品、独自の暗号通貨やブロックチェーンを提供するなどし、急速にビジネスを拡大してきました。

Binance – Cryptocurrency Exchange for Bitcoin, Ethereum & Altcoins

暗号通貨の情報を扱うCoinMarketCapによると、本記事執筆中の2023年3月時点でBinanceは暗号通貨取引所の中で現物デリバティブともに最大の取引高を誇っています。

Binanceは、ユニークな創業者のChangpeng Zhao氏(CZ氏と呼ばれることも、Twitter @cz_binance)でも有名です。英語版のWikipediaによると、CZ氏は2005年に株式の高頻度売買システムを開発する企業を創業し、2013年にBlockchain.infoのウォレットチームに参画、OKCoinのCTOを経て、2017年に中国でBinanceを創業しました。Binanceは中国政府の暗号通貨規制をいち早く察し、国外に拠点を移転します。Decryptの記事によると、Binanceは世界中にオフィスがあるとしつつ、本社のない分散型の企業との立場をとっています。

Binanceはアグレッシブなビジネスで各国の規制当局から警告を受けることも少なくなく、暗号通貨界隈からさえも反感を買うことがあります。BNBチェーンもその一例で、オープンソースのEthereumをフォークするのは自由ですが、中央集権的で手数料が安く、処理の速いBNBチェーンはすべての人から快く受け入れられなかったことは知っておきたいところです。

 

BNBチェーンとは

Binanceは2019年4月にブロックチェーンBinance Chainをリリースし、続いて、DeFiサマーの盛り上がった2020年の9月にBinance Smart Chain(以下BSCと略記)をリリースしました。

両者の名前は似ていますが、Binance ChainはCosmos SDKを使って作られたチェーンで、分散型取引のための高い処理能力を提供することを目指したものです。Binance Chain上ではBinanceの分散型取引所Binance DEXがリリースされました。

Binance DEX Launches on BNB Chain, Invites Further Community Development | Binance Blog

BSCは、Binance Chainと同期しつつも、Ethereumのフォークであることから、EVMと互換性があり、スマートコントラクトを実行できるだけでなく、Ethereum向に開発された分散型アプリケーションをBSCに移植できます。

2021年の暗号通貨ブームでは高速かつ安価に処理をできることから注目を集め、BSC上のUniswapのような分散型取引所PancakeSwapは一般の週刊誌でもとりあげられるほどでした。PancakeSwapは現在でもBNBチェーン上で最大のTVLをほこっています。

Binance ChainとBSCは2022年2月に統合され、BNB Chainになりました。BNB ChainではBinance Chainがビーコンチェーンとしてステーキングや投票に使われ、BSCがスマートコントラクトの実行やコンセンサスに使われます。

BNB Chainの合意形成はDPoS(Delegated Proof of Stake、BNBの保有者から投票を受けたバリデータがブロックを作成する)とPoA(Proof of Authority、承認された機関がブロックを作成する)を組み合わせたPoSA(Proof of Staked Authority)という仕組みで行われます。ブロックの生成は29のバリデータによって行われるため、トランザクションは高速に処理されます。BNB Chainではブロック作成時に新しくトークンが発行されることはなく、バリデータや、バリデータに投票したBNBの所有者はトランザクション手数料を受け取ります。

BNB Chainの限られた数のバリデータによるブロック生成方式には、トランザクションを高速に処理できる一方で、懸念点もあります。2022年10月にブリッジがハッキングされた際には、Binanceはバリデータに対してBSCを一時停止するよう依頼し、ブロックチェーンが一時停止しました。この措置によって被害は抑えられましたが、一方で未だBinanceが中心に存在する中央集権的な運用体制も露呈しました。

バイナンススマートチェーンが停止、ブリッジのハッキング被害額1.1億ドル | あたらしい経済

BNB Chainの詳細についてはドキュメントが公開されています。

BNB Chain: An Ecosystem of Blockchains | BNB Chain Documentation

 

BNBチェーンが注目を集める理由

BNBチェーンはリリース後、2021年の暗号通貨ブームを追い風に、2021年春までの数ヶ月で大きくDeFiのTVLを伸ばしました。2021年には春にPolygon、夏にSolana、続いてAvalancheがトランザクションを高速に安く処理できるEthereumキラーとして注目を集めましたが、BNB Chainの原型であるBSCはこれらに先駆けてその地位を築いたといえます。

DeFiLlamaでブロックチェーンごとのDeFiのTVLの推移を見てみると、BNBチェーンは、TRONなどに追い抜かれることもありますが、Ethereumに続いて2位、3位をキープしています。

画像: DeFiのTVLのランキングとその推移
DeFiLlamaより)

NansenのTweetによると、2022年にはBNB Chainの7日間のアクティブアドレス数がEthereumを超えることもありました。

画像: ブロックチェーン別の7日間アクティブアドレス数
(2022年3月のNansenのTweetより)

CoinMarketCapによると、BNB ChainではEthereumに次いで多くのプロトコルが稼働しています。BNB Chain はEVMと互換性があり、Ethereum向けに開発したプロトコルを移植しやすく、BNB Chain上のDeFiプロトコルでTVL TOP10のうち6プロトコルはEthereum上でも稼働しています。

画像: ブロックチェーンごとのTVLとプロトコル数(CoinMarketCapより)

このほか、世界最大ともいわれる暗号通貨取引所Binanceとの連携から、BNBをはじめとする暗号資産を扱いやすいのもBNB Chainが人気を集めている理由と考えられます。

 

BNBチェーンのエコシステム

前述の通り、BNB Chain上ではEthereumについで多くのプロトコルが稼働しています。BNB Chainのウェブサイトと、分散型アプリケーションの情報を扱うDappRadarによると過去7日間・30日間でユニークアクティブウォレット数、取引高すべてでPancakeSwapが1位です。興味深いのは、PancakeSwapに続いてCyberConnect、Lifeform、Hookedといったソーシャルカテゴリの分散型アプリケーションのユーザー数が多くなっているところです。

画像: BNB Chainの分散型アプリケーションの総合ランキング
BNB Chainウェブサイトより)

DeFiサービスとしては、PancakeSwap、1inchの名前が見られますが、2023年3月にはUniswap V3がBNB Chainでローンチしました。

Uniswap Version 3 Goes Live on BNB Chain – CoinDesk

2021年から2022年にかけて一世を風靡したNFTについては、暗号通貨市場ととも全体的に低迷していますが、BNB ChainについてはBSC時代からNFTで大きく盛り上がることがなかったのはおさえておきたい傾向です。2022年11月にはOpenSeaがBNB Chainに対応したものの大きな影響は未だ見られません。

画像: BNB Chain上のマーケットプレイスの過去7日間の
ユニークアクティブウォレット数のランキング(DappRadarより)

 

おわりに

本記事では、世界最大の暗号通貨取引所BinanceによるブロックチェーンBNB Chainを紹介しました。BNBチェーンは、プロトコル数やTVLではEthereumに次ぐ影響力を誇るブロックチェーンで、今後はZKロールアップやOptimisticロールアップを導入するなどして、秒間5000トランザクションを処理できるように拡張される計画です。

BNB Chain Aims to Double Transaction Speed, Targets ZK Tooling in 2023 Road Map – CoinDesk

BNB Chainは未だBinance色が強く、中央集権性が懸念される一方で、処理能力や手数料の安さといった利便性、大手暗号通貨取引所がバックについている点は強みでもあります。2023年に入り、暗号通貨市場は比較的静かな状況が続いていますが、BNB Chainは次の盛り上がりに備えて注目しておきたいブロックチェーンの一つです。

エンジニアの経験と情報学分野での経験を活かして、現在はドイツにてフリーランスで翻訳・技術解説に取り組む。2009年下期IPA未踏プログラム参加。2016年、本メディアでの調査の仕事をきっかけにブロックチェーンや仮想通貨、その先のトークンエコノミーに興味を持つ。

BinanceBNBBSC

ブロックチェーンを学び、新しいことをサービスを作りたい人が集まるコミュニティーを運営しています。
・これから実現したいサービスやプロダクトにブロックチェーンを使いたい
・ブロックチェーンが自分の課題を解決する糸口としたい
・ブロックチェーンの技術を学んでプロダクト開発をしたい

興味のある方は詳細をご覧ください!

Back To Top
Search