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Avalanche

Avalancheとは

Avalancheは高速でコストを抑えて処理を行うブロックチェーンで、ニューヨークのブルックリンに拠点を置くAva Labsが開発を進めています。2020年9月にはAvalancheのメインネットがローンチされました。

Avalanche: Blazingly Fast, Low Cost, & Eco-Friendly

企業情報を扱うCrunchbaseによると、Ava Labsの創業は2018年で、従業員は101-250人、2021年9月には独自トークンAVAXのプライベートセールでPolychain Capitalなどから2.3億ドルを調達し、これまでに受けた投資は2.9億ドル(約320億円)に達しました。このように企業規模を見ると、Ava Labsはスタートアップから一回り成長した比較的大きな企業といえます。

Ava Labs – Crunchbase Investor Profile & Investments

Avalancheが目指すのは、圧倒的な速さと低コストでの処理です。速度と低コストではPolygonやSolanaが注目されていますが、Coin98 Analyticsの調査によると、2021年2月から3月にかけてAvalancheはTerraと並んで、EthereumとBSCに次ぐTVL(Total Value Locked、各プラットフォームでスマートコントラクトに預け入れられている資産額)を記録しました。その後もAvalancheのTVLは伸びているものの、PolygonやSolanaの急成長もあり、2021年9月中旬のAvalancheのTVLは、Ethereum、BSC、Solana、Terra、Polygonに次いで6番目に大きくなっています。

画像: 2021年9月中旬のEthereumを除いた各プラットフォームのTVL
COIN98 Analyticsのツイートより)

Avalancheの処理能力は秒間4500トランザクション、トランザクションが確定するまでの時間は2秒ほどです。VISAやSolanaの秒間最大数万トランザクションという処理能力と比べると、Avalancheの処理能力は少なく見えますが、BitcoinやEthereumと比べると、大量かつ高速に処理が行われることがわかります。

画像: AvalancheとBitcoin、Ethereum、Polkadotの比較(Avalancheのウェブサイトより)

Avalancheのネットワークを利用する際の手数料は、Avalancheの独自トークンAVAXで支払われます。手数料の金額は処理によって異なり、送金は最大0.001AVAX、トークンの作成は最大0.01AVAX、トークンの発行は最大0.001AVAXとのこと。2021年10月の本記事執筆時点で1AVAXは63ドルほどで、送金は6.3セント、7円ほどあればできることになります。1円を切るレベルで格安とまではいきませんが、数十ドル、数百ドルのガス代がかかるEthereumネットワークと比べると許容範囲といえそうです。

Transaction Fees – Avalanche

処理能力や手数料での優位性のほかに、AvalancheはEthereumとの互換性があり、Avalancheを利用したいと考えているプロジェクトはすでにEthereum上で動いているスマートコントラクトを再利用できます。

現在AVAXを扱っている日本の取引所はなく、少量のAVAXを手に入れられるメインネットのfaucetもないため、Avalancheを利用してみたいという人は国外または分散型の取引所でAVAXを手に入れることになります。AVAXを手に入れたら、ブリッジを使ってEthereum上の資産をAvalancheに移して、Avalanche上の分散型アプリケーションを使えるようになります。

画像: Avalanche Bridge

続いてAvalancheがどのように高速かつ低コストでの処理を実現しているのか技術的な概要を見てみましょう。

 

Avalancheの技術的概要

Avalancheは、Exchange Chain(X-Chain)、Platform Chain(P-Chain)、Contract Chain (C-Chain)という3つのブロックチェーンと、これらブロックチェーンを管理するプライマリーネットワークで成り立っています。

画像: Avalancheの全体像(Avalancheの開発者向け文書より)

X-ChainはAVAXをはじめとするデジタルアセットの作成や取引を扱います。P-ChainはAvalancheのメタデータを扱うブロックチェーンでバリデータの調整やサブネットの管理を行います。C-ChainはEVMのインスタンスで、スマートコントラクトの作成と実行が可能です。

X-Chainでは合意形成プロトコルとしてAvalanche Consensus Protocolが、P-ChainとC-ChainではSnowman Protocolが採用されています。Avalanche Consensus ProtocolとSnowman Protocolでは基本的に同じ仕組みで合意形成が行われますが、Avalanche Consensus ProtocolではトランザクションをDAG(有効非巡回グラフ)で扱い必ずしも順序づけがされないのに対して、Snowman Protocolではトランザクションに順序づけをして線形に扱います。

Avalancheでは、あるトランザクションについて、クエリノードと呼ばれるノードが20個のノードを選び、トランザクションの成否について意見を求め、14を超えるノードの意見が総意となります。これを繰り返して同じ結果が20回続けて得られたところでトランザクションの成否が確定します。このように意見の集約を異なるノード群で複数回行うことで、正しくないトランザクションが取り込まれる確率をゼロに近づけます。

Avalancheでは、BitcoinやEthereumのようにすべてのノードが単一の合意形成に参加せず、X-ChainではDAGを使って複数のバリデータ群でトランザクションを並行処理することで、従来のブロックチェーンよりも高速にトランザクションを処理できます。

Avalancheのバリデータになるには、AVAXをステークする必要があります。ステークするAVAXの量に応じて、他のノードから合意形成に呼ばれる確率が高くなります。バリデータは正しく仕事をした場合に報酬を得ます。バリデータの仕事を正しく行わないノードには報酬が支払われないだけで、ペナルティはありません。

Avalancheの仕組みについては、ホワイトペーパーと開発者向けのドキュメントに詳しい記述があります。

 

Avalancheが注目を集める理由

2021年は春にPolygonが、夏にSolanaがEthereumに変わる高速で低コストのチェーンとして注目を集めました。代替チェーンのほかに、セカンドレイヤー技術にも期待が寄せられています。Avalancheについても、PolygonやSolanaと同様に、高速で低コストという点が注目を集める理由なのは確かです。また、AvalancheはPolygonと同様にEthereumと互換性があり、Ethereum上で動かすために作られた分散型アプリケーションを移植しやすいのも既存のプロジェクトにとって大きなメリットといえます。

競合するブロックチェーンが少なくない中で、Avalancheのメリットを考えると、バリデータの数が増えてもネットワークの遅延しない合意形成の仕組みになっており、むしろ並列処理が進む可能性がある点が挙げられます。バリデータの数が増えるのは分散化の点でも大きなメリットがあります。

また、各国で仮想通貨の規制に関する発言が相次ぐ中、規制の枠組みが作られる上で重要な役割を果たすであろうアメリカのプロジェクトという点もメリットとなるかも知れません。PolygonはIT立国インドのプロジェクトで、インドはこれまで仮想通貨の規制が二転三転してきたことでも知られています。

 

Avalancheのエコシステム

AvalancheのウェブサイトにはAvalanche上で稼働しているアプリケーションやエコシステムを紹介したページがあります。

画像: Avalancheのエコシステムを説明したページ

AvalancheのウェブサイトではAvalancheのユースケースとして、DeFi(分散型金融)が一番に上がっているように、2021年10月現在、アプリケーションのジャンルではDeFiアプリケーションが最も多くなっています。Aave、Curve、SushiswapといったEthereumでお馴染みのDeFiアプリケーションの名前が見られます。Avalanche Rushというインセンティブプログラムでは、AAVEやCurveといったAvalanche上のDeFiアプリケーションの流動性提供者に対してAVAXを付与し、アプリケーションやユーザーの誘致を目指しています。

Avalanche Foundation Announces $180M DeFi Incentive Program | by Avalanche | Avalanche | Aug, 2021 | Medium

Coin98 Analyticsの調べによると、TVLの高いアプリケーションはBENQI、Aave、Trader Joe、Pangolin、Yield Yakと続きます。興味深いのは、TVLの大きいプロジェクトのトップ5の中では、Aave以外はAvalancheのみでリリースされている点です。

画像: Avalanche上のプロジェクトのTVLランキング(Coin98 Analyticsのツイートより)

分散型アプリケーションの情報を扱うDappRadarで、Avalanche上の分散型アプリケーションについてユーザー数別のランキングを見てみると、DeFiアプリケーションが多い中、NFTマーケットプレイスのアグリゲータであるNFTradeがランキングに入っています。

画像:Avalanche上のアプリケーションの過去30日間のユーザー数ランキング
DappRadarより)

今後、DeFiはもちろん、NFTやゲームなど、さまざまなジャンルのアプリケーションが登場し、Avalancheのエコシステムが広がっていくことが期待されます。

 

おわりに

本記事では高速かつ低コストで処理を行うブロックチェーンAvalancheについて解説しました。2021年に入って、Avalancheをはじめ、ブロックチェーンの処理能力と手数料の課題の解決を目指すプラットフォームが本格的に利用され始めています。ただし、手数料の安さには難点もあります。先日Solanaのネットワークはボットによる大量のトランザクションをさばききれずにダウンしました。Solanaと同様に手数料の安さをうたうAvalancheにもこのようなことは起こりえるでしょう。

今後Avalancheが、高速かつ低コストをうたう他のプラットフォームとどう差別化し、エコシステムを広げていくのか注目したいところです。


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Akiko T.

Akiko T.

エンジニアの経験と情報学分野での経験を活かして、現在はドイツにてフリーランスで翻訳・技術解説に取り組む。2009年下期IPA未踏プログラム参加。2016年、本メディアでの調査の仕事をきっかけにブロックチェーンや仮想通貨、その先のトークンエコノミーに興味を持つ。

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