日本初のブロックチェーン技術を用いたソーシャルメディアプラットフォームである「ALIS」は、これまでのSNSにおける、投稿者や、評価者におけるメリットのなさを改善すべく提案された新しいカタチのSNSです。リリースに向けたクラウドセールにて、目標である最下限調達額として設定していた11,666ETH(約3.8億円)を12日間で調達したことを9月13日に発表したことでも話題を呼びました。
サービス概要
ALISは信頼性の高い情報や人に素早く出会え、 誰もが報酬を得ることができるソーシャルメディアプラットフォームを目指します。 元々はSTEEMというブロックチェーンを活用したSNSサービスに感銘を受け、 その欠点であるわかりにくさを補う、分かりやすい形のメディアを日本にも広めることをミッションとしています。
背景となった課題は大きく2つあり、一つはPV偏重による評価に依存し、フェイクニュースや詐欺まがいの情報が、あたかも信頼できる情報であるかのように人々に届いてしまうメディアのあり方に対する課題感です。そして二つ目は、世界における、ブロックチェーン技術や、新しい形のSNS分野で日本が遅れを取っている課題感です。
メディアサービスの仕組みとしては、多くの人々がいいねと思う良質な記事を投稿した人や、そのような記事を真っ先に探し出していいねをした人に対して、より多くのALISトークンを配布します。加えて、昔から信頼を獲得し続けているユーザばかりがトークンを得ることがないように、また不正な形でトークンを得ることがないようにトークン価格のロジックを設計しています。従ってALISが信頼できる記事と人々が集まる優れたプラットフォームであると認められるほどALISトークンの価値が上昇し、ユーザに還元される価値も増えます。その結果、より多くの信頼できる記事と人々が集まり、さらにプラットフォームが発展します。
画像:ALIS
ブロックチェーンの使い方
ALISの中核技術にはブロックチェーンが用いられています。従来であればトークンを取り扱うための複雑で高コストなシステムを準備する必要がありましたが、ブロックチェーンを用いることにより簡単に信頼のおけるプラットフォームを構築できるため、課題としている「信頼できる情報・人が集まるプラットフォーム」を構築することへの貢献が期待できます。
ブロックチェーン技術は、ユーザーが作成した記事の評価および報酬データの保存に使用されます。この保存作業を承認するのはALISトークンをウォレットに入れ承認されたトークンを持つユーザーです。これらのユーザーは計算されたトークン配布のためのポイントが適正かどうかを判断し、各ユーザーに適切に配布することになります。
最も不正が起きやすいトークンの配布という部分に対して、ブロックチェーン技術は相性が良いと考えられます。また類似した海外サービスであるSTEEMとは違い、ALISはオンチェーンとオフチェーンを使い分ける想定でいます。例えば、投稿した記事の内容をブロックチェーンに入れてしまうとコンテンツの検索性や機械学習に適さないデータ構造になってしまうため、MySQLやElastic searchなどを活用して開発する予定と述べています。
画像:ALIS
またALISは調達金額により採用するブロックチェーンの選定を変更する予定でいます。最低金額の3.5億円に近い金額を調達した場合は、Ethereum上のチューリング完全な環境を用いてALISトークンのアルゴリズムを実装することを検討しています。ただし、手数料価格であるGas Priceの高騰が問題になると想定されるため、Ethereumブロックチェーンへの書き込み回数を減らす(=トークンが配布されてから次の配布までの期間を伸ばす)ことが想定されます。
もし5億円以上調達することができた場合は、Ethereumブロックチェーンとプライベートブロックチェーンを組み合わせたシステムを構築することを検討しています。また、プライベートブロックチェーンは独自開発ではなく、既存のブロックチェーンをフォークしチューニングしたものを活用する予定です。
通貨を使ったビジネスモデル
ALISはブロックチェーンに基づいたトークン(コミュニティー内通貨)をベースとして運営がされます。特にトークンの保有はALISにおけるユーザーの信頼度スコアの判定基準となることは重要なポイントです。
まず、トークン保有量と信頼ポイントからユーザの信頼度スコアが算出されます。ここで、信頼度スコアの高いユーザーから受け取った「いいね」は、信頼度スコアが低いユーザーからの「いいね」よりも信頼ポイントが多く貯まります。また信頼ポイントは自分の投稿が受け取った「いいね」数だけではなく、他人の投稿への「いいね」数から算出されることが特徴で、コミュニティーへの貢献度が重要視されます。
これらの基準によってユーザーの信頼度スコアを計算式にすると以下のようになります。
ユーザー信頼度スコア = トークン保有数 × トークン保有期間とサービス利用頻度 × 自分の投稿に対する「いいね」数 × 他者の投稿への「いいね」数
今後の展望
ALISの中期的なマイルストーンは、2017年9月29日までのクラウドセール後、調達した資金はプラットフォームを発展させるために利用していき、2018年4月にβ版が提供開始されます。そして2018年10月に正式サービスが提供開始されます。
正式サービスの提供開始後は、ブロックチェーンや仮想通貨などの領域に関して良質なメディアプラットフォームづくりにリソースを集中する予定です。
ALISにおけるブロックチェーンの活用は、経済の概念だけにとらわれず、をうまくメディアサービスの良質化へ繋げられているのではないでしょうか。未だにこのようなメディアは日本には存在せず、今後の動向が非常に注目されます。