2025年第2四半期(4〜6月)は、ガイアックスのDAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)事業において、地方創生DAOの具体的な成果発表や大型カンファレンスの開催など、注目すべき動きが相次ぎました。本記事では、同期間に開催されたイベントとその関連発表を含め、主要なプレスリリースを時系列で振り返り、国内DAO市場のトレンドを読み解きます。
目次
1. ブロックチェーンEXPO【春】にて「ぐんま山育DAO」を発表(2025年3月27日発表 / 4月15〜17日開催)
2025年3月27日、ガイアックスは4月15日(火)〜17日(木)に東京ビッグサイトで開催される「第6回 ブロックチェーンEXPO【春】」の「Blockchain Case Studies」セッションへの登壇を発表しました。
セッションタイトルは「群馬県が取り組む自然派ワイン事業でのDAO活用 〜資金調達と地方創生〜」。登壇者は以下の3名です。
- 一般社団法人ちもり 理事長 六本木ユウジ氏
- 群馬県庁 知事戦略部 デジタルトランスフォーメーション課 NETSUGEN運用チーム主事 南澤由佳氏
- 株式会社ガイアックス DAO事業責任者 廣渡裕介氏
「ぐんま山育DAO」は、群馬県庁・ガイアックス・チモリ合同会社が連携して設立した日本初の地方自治体連携型の株式会社型DAOプロジェクトです。群馬県利根沼田地域において、自然派ワインの醸造・販売事業を展開し、DAOX(ダオエックス)を活用した資金調達と県外からの関係人口創出を目指しています。プレ応募の段階で84名・約391万円の出資が集まり(2025年3月末時点)、プロジェクトへの関心の高さがうかがえます。
プレスリリース: ガイアックス、ブロックチェーンEXPO【春】にて、日本初の地方自治体と連携の株式会社型DAOプロジェクトを発表(PR TIMES)
2. NICT委託研究「共創型デジタルツイン流通サービス」に採択(2025年4月21日発表)

2025年4月21日、ガイアックスは国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の「高度通信・放送研究開発委託研究に係る令和7年度新規委託研究(課題241)」に採択されたことを発表しました。
採択された研究課題名は「高弾性ハイパーセキュアな非集中型ストレージによるデジタルツイン流通アプリケーションの研究開発」です。早稲田大学(代表提案者)、東京科学大学、Casley Deep Innovations株式会社との共同提案によるもので、DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks、分散型物理インフラネットワーク)の社会実装に向けた研究開発に取り組みます。
ガイアックスは本研究において「共創型デジタルツイン流通サービス」の研究開発を担当します。ユーザーがiPhoneやiPadの3Dセンサーで収集したデータからデジタルツインを生成し、トークンを活用して売買・収益分配を行う自律分散型の流通基盤を構築する内容です。
プレスリリース: NICT「高度通信・放送研究開発委託研究に係る令和7年度新規委託研究(課題241)」採択のお知らせ(PR TIMES)
3. 「ソーシャル Innovation EXPO 2025」にガイアックス支援DAOが多数出展(2025年6月6日発表 / 6月8日開催)

2025年6月6日、ガイアックスは6月8日(日)にマイドームおおさか(大阪市中央区)で開催される「ソーシャル Innovation EXPO 2025 〜共創の力で作る新しい地域創生の未来を考える〜」に、同社が構築・運用支援を行う3つの地方創生DAOが出展することを発表しました。
出展したDAOは以下の3プロジェクトです。
- ぐんま山育DAO: 群馬県と連携した自然派ワイン醸造プロジェクト。2025年度時点で127名・670万円の出資を獲得
- 美しい村DAO: 日本で最も美しい村連合に加盟する複数自治体が連携する地方創生コミュニティ
- PlanetDAO: 地域単独では維持が困難な歴史的建造物を、国内外のサポーターによる小口投資で保全するプロジェクト。約4,000万円の資金調達実績
本イベントには全国から22のDAOが集結し、空き家再生、農業、観光、文化など多様な分野の取り組みが紹介されました。ガイアックスは、同社が構築・運営支援を行うDAOの資金調達成功率が100%であることもあわせて発表しています。
プレスリリース: 地方創生DAOが集まる「ソーシャル Innovation EXPO 2025」に、ガイアックス構築・支援DAOが多数出展(PR TIMES)
4. 「ぐんま山育DAO」ブドウ苗植え体験会を群馬県沼田市で開催(2025年6月発表 / 6月29日開催)

2025年6月、ガイアックスは「ぐんま山育DAO」のメンバーおよびプレメンバー限定イベントとして、自然派ワイン用のブドウ苗植え体験会を6月29日(日)に群馬県沼田市の提携農場で開催することを発表しました。
本イベントは単なる農業体験にとどまらず、DAOメンバーが実際に群馬県利根沼田地域を訪れる機会を創出し、地域との深い関わりを持つ「リアルな仲間づくり」を目指すものです。著名な自然派ワイン栽培家・醸造家の大岡弘武氏や、群馬の気候に適した独自のブドウ品種を開発する植物育種家・林真吾氏の指導のもと、参加者はワインづくりの第一歩を体験しました。
プレスリリース: ぐんま山育DAO、自然派ワイン用のブドウの苗植えを群馬県沼田市で6/29開催(PR TIMES)
総括:2025年Q2に見えたDAO市場のトレンド
2025年Q2のガイアックスDAO事業に関するプレスリリースからは、以下の3つのトレンドが読み取れます。
地方創生DAOの「実装フェーズ」への移行
ブロックチェーンEXPOでの発表やソーシャル Innovation EXPOへの出展が示すように、地方創生DAOは構想段階から実際に資金を集め、事業を運営する「実装フェーズ」へと明確に移行しています。ぐんま山育DAOが127名・670万円の出資を集め、実際にブドウの苗植えイベントを開催した事実は、DAOが「絵に描いた餅」ではなく実体を伴った事業モデルとして機能し始めていることを示しています。
官民連携の深化
群馬県庁との連携による「ぐんま山育DAO」や、NICTの委託研究への採択は、行政機関がWeb3技術やDAO的な仕組みを地域課題の解決手段として積極的に評価し始めていることを示唆しています。自治体が関わることで、プロジェクトの信頼性と持続可能性が高まる好循環が生まれつつあります。
DAOエコシステムの拡大
ソーシャル Innovation EXPO 2025に22のDAOが集結したことは、国内のDAOエコシステムが着実に拡大していることの証左です。ガイアックスが支援するDAOの資金調達成功率100%という実績は、DAOX(DAO組成・運用プラットフォーム)を軸としたノウハウの蓄積が、プロジェクトの成功確率を高めていることを示唆しています。
今後の注目ポイント
2025年後半以降、以下の点に注目が集まります。
- ぐんま山育DAOの事業進捗: 2025年度に127名・670万円を集めた同プロジェクトが、ワイン醸造という実業においてどのような成果を出すか。他地域への横展開の可能性にも注目です
- NICT委託研究の成果: デジタルツイン流通基盤の研究開発がどこまで進み、DePINの社会実装にどうつながるか
- DAOXプラットフォームの進化: DAO組成・運用の一元化ツールとしてのDAOXが、さらなる機能拡充やユーザー拡大を実現できるか
- 法制度の整備状況: 合同会社型DAOの解禁(2024年4月22日施行)以降、株式会社型DAOを含むDAO関連の法整備がどのように進展するか
地方創生とWeb3の融合は、まだ黎明期にあります。しかし、2025年Q2のプレスリリースが示すように、具体的な成果と実績が積み上がりつつあり、DAOが地域課題解決の有力な選択肢として定着する日はそう遠くないかもしれません。
参考リンク



