Openbazaar Image 01
Pocket

ユーザー同士がビットコインで自由に商品を売買できる分散型P2Pフリマプラットフォーム「OpenBazaar」(オープンバザール)を紹介します。

 

OpenBazaarの生い立ち

2014年4月カナダのトロントで行われたハッカソンでAmir Taaki氏のチームがOpenBazaarの原型となる分散型のマーケットプレースDark Marketを発表し、ハッカソンを勝ち抜きました。Dark Marketは2013年のFBIによるSilk Road摘発に対する問題提起でもあったようです。Taaki氏とチームはDark Marketの開発を継続しないという決定を下しますが、分散型のマーケットプレースというアイディアを気に入ったBrian Hoffman氏がプロジェクトをフォークし、OpenBazaarに改名し開発を続けます。2014年9月に最初のソフトウェアがリリースされ、2015年4月にはOpenBazaarの開発を行うOB1がユニオンスクエアベンチャーズとアンドリーセン・ホロウィッツから100万ドル(当時のレートで約1億2000万円)の出資を受けて設立されました。2016年4月には完全なソフトウェアがリリースされ、同年7月、12月にそれぞれ150万ドル、300万ドルの投資を受けています。

 

OpenBazaarとは

大型の投資を受けて誕生したOpenBazaarですが、そのフリマプラットフォーム上では世界中の30以上の国から音楽、ゲーム、ファッション、家の賃貸、飲料や食品までさまざまなものが取引されているといいます。

Home – OpenBazaar

OpenBazaarと既存のフリマサービスの違いは「分散型」という点にあり、売買手数料やサービス利用料が発生しないこと、さらにはサービス提供者による規制がないことを強調しています。OpenBazaarのソフトウェアはOB1によって開発されていますが、オープンソースで、サービスを提供する中央集権的なサーバーはなく、ユーザーはOpenBazaarのクライアントソフトウェア、いわばOpenBazaarネットワークのノード兼ブラウザを利用して商品を売買します。クライアントソフトウェアはMac OS、Windows、Linux向に公開されています。

Download OpenBazaar – OpenBazaar

クライアントソフトウェアをインストールし、言語や地域、設定したいユーザー名などいくつかの質問に答えるとプロフィールが作成されます。店舗や商品はIDやキーワードを入力して検索することができます。また、店舗を開設して商品を販売でき、他のユーザーに手数料を払って仲介を依頼し、取引の安全性を高めることもできます。

画像:OpenBazaarクライアントソフトウェアのデモ画面(OpenBazaarウェブサイトより)

次にOpenBazaarがどのようにフリマプラットフォームを実現しているのか分散型、ブロックチェーンといった切り口からOpenBazaarの仕組みを見てみましょう。

 

OpenBazaarとブロックチェーン

OpenBazaarの根幹であるP2Pネットワークは、BitTorrentで何百万ものピアをつないだ実績のある分散ハッシュテーブルKademlia(カデムリア)を応用し構築されています。

ブロックチェーンの文脈でOpenBazaarの名前を見かけることがありますが、プラットフォーム内でブロックチェーンを活用しているというよりも、ビットコインでの支払いに際して、買い手から売り手への直接支払いに加え、代金と商品を安全に交換するためにマルチシグエスクローアドレスを用いた取引オプションが用意されていることから「ビットコインブロックチェーンを外部的に利用している」と捉えるとよさそうです。

※ 一般的なエスクローについては本ブログの以下の記事をご参照ください:
取引の安全を保証する「エスクロー」 – ブロックチェーンの情報ならBlochcnain Biz【Gaiax】

また、ユーザーの匿名性に重きをおくOpenBazaarのユーザー評価の仕組みは独特で、ここにも部分的にビットコインブロックチェーンが使われています。OpenBazaarにはProjected trustとGlobal trustと呼ばれる二種類の信頼があります。Projected trustの度合いは、ユーザー同士の信頼関係にもとづくつながりから算出されます。Projected(投影された)と名前にある通り、同じユーザーを見ても見ているユーザーによって算出される信頼度が異なります。Global trustの度合いはProof of BurnとProof of Timelockに基づいて算出されます。ユーザーはProof of Burnによってアカウントの信頼度を得ます。アカウントを次々作って不正を働くことの抑止力となり、費やしたビットコインの量が信頼の尺度となります。Proof of Timelockは一定期間実行されないトランザクションにビットコインをロックするもので、Proof of Burnよりも弱い保証ではありますが、ユーザーとしてはProof of Timelockの方が苦痛なく利用できるとOpenBazaarは見ているようです。最終的にProjected trustとGlobal trustから総合的な信頼度が計算され、ユーザーの評価となります。

※Proof of Burnについては、本ブログの以下の記事をご参照ください:
コイン焼却の証明が新しい価値創造の証明になる「プルーフ・オブ・バーン」

ネットワーク、取引のプロセス、信頼度の計算手法について、OpenBazaarのプロトコル詳細としてドキュメントが公開されています。
Protocol – OpenBazaar Docs

 

OpenBazaarの今後

OpenBazaarの開発元のOB1はこれまで数億円規模の出資を受けてきましたが、2017年6月に入り20万ドルの新たな投資に関する報道がありました。

Bitcoin-Powered Marketplace OpenBazaar Raises $200k in New Funding – CoinDesk

現在はOpenBazaarのバージョン2.0を開発者向にリリースするべくマイルストーンが発表されたところで、ロードマップを見てみると、ネットワークへの接続経路を匿名化するTorの統合やモバイルアプリのリリースがハイライトとなりそうです。

OpenBazaar High-Level Roadmap – Trello

自由度の高さが魅力的で、技術的にも興味深いOpenBazaarですが、匿名性の高さや管理者のいないネットワークという性質からFBIに摘発されたシルクロードのように非合法の闇取引の温床にならないか懸念する声もあります。

今後バージョン2.0のリリースを経て、OpenBazaarがどのように新しいフリマプラットフォームとしての立ち位置を築くのか注目したいところです。

Pocket

Search