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ドイツの自動車会社ダイムラーが環境に配慮したエコ運転をするドライバーを評価し独自の仮想通貨mobiCOINを付与するプロジェクトを発表し注目を集めています。本記事では、ダイムラーのmobiCOINからはじめ、ドイツの自動車業界でのブロックチェーン技術の採用の動きについても少し紹介いたします。

 

mobiCOINとは

海外高級車の代名詞メルセデス・ベンツで知られるドイツの自動車会社ダイムラーは、スペインのバルセロナで2018年2月26日から3月1日に開催されたMobile World Congressにて独自の仮想通貨mobiCOINについて発表しました。ダイムラーの仮想通貨に関連するニュースでは2017年1月のPayCash Europe SAの買収とMercedes payの発表に続くものです。

弊社の調査によると、mobiCOINを含む、環境に配慮し低速でスムーズに安全運転をする(本記事ではこの環境に配慮した運転を以下「エコ運転」と呼びます)ドライバーを評価するプロジェクトは2018年2月にはじまり、現在は500人のドライバーが参加する3ヶ月のテストフェーズの最中だといいます。同社のブログではプロジェクト開始にさきがけてmobiCOINのアプリを体験した社員のレポートを読むことができます。

mobiCOIN: Für’s umweltschonende Fahren doppelt belohnt werden | Daimler-Blog (mobiCOIN、環境にやさしい運転に対する二重の報酬 | ダイムラーブログ)

ドライバーはスマートフォンにmobiCOINのアプリをインストールして、運転記録をダイムラーに送信し、この記録をもとにmobiCOINが配布されます。アプリではほかの参加者がどれだけエコ運転をしているのか、どれだけmobiCOINを獲得したのかを知ることもできるようです。多くのmobiCOINを獲得した参加者にはドイツツーリングカー選手権、メルセデスカップの決勝、ベルリンファッションウィークのVIPチケットが賞品として用意されているといいます。

画像: mobiCOINのモバイルアプリのスクリーンショット(ダイムラーのブログより)

 

mobiCOINとブロックチェーン

mobiCOINはブロックチェーンベースの仮想通貨であるといわれていますが、実際にどのようなブロックチェーンが使われているのか、ドルや円といった法定通貨やその他の仮想通貨とmobiCOINを交換できるのかなど詳細は明らかにされていません。

ドイツのスタートアップに関するメディアGründerszeneによると、運転時のスピード、加速、ブレーキといった自動車の操作データもブロックチェーン上に記録されるようです。

Daimler testet Kryptowährung für ökologisches Fahren | Gründerszene (ダイムラー、エコ運転のための仮想通貨をテスト)

テストフェーズが進み、ダイムラーから公式の発表があることを期待したいところです。

 

mobiCOIN、ドイツの自動車業界とブロックチェーン

仮想通貨とブロックチェーンを利用してエコ運転をするドライバーを評価しようというmobiCOINは、環境先進国として知られるドイツらしいプロジェクトといえるかもしれません。ダイムラーの本社のあるドイツのシュトゥットガルトでは大気汚染が問題視され、市内へのディーゼル車の乗り入れ禁止が長らく検討されています。ディーゼル車についてはハードの問題ですが、mobiCOINが推奨するようなエコ運転をすくことで渋滞学という学問の中で言われている「すべての車が一定の車間距離を保てば自然渋滞は解消できうる」状況につながれば、車単体にとどまらず、交通システム全体で渋滞によるNOxやCO2の過剰排出を減らす効果も期待できるかもしれません。

自動車産業で有名なドイツでは、ダイムラーのmobiCOIN以外にもさまざまな自動車とブロックチェーンに関するプロジェクトが出てきています。本ブログでは以前ドイツの自動車部品メーカーZFフリードリヒスハーフェンのCar eWalletを紹介しました。同じく自動車部品を製造するBOSCHのベンチャーキャピタルがIoTのための仮想通貨IOTAを大量に取得し、緊密に連携していくことが発表されました。余談ですがIOTAもドイツに拠点を置いています。

自動車会社ではフォルクスワーゲンもIOTAと提携を進め、フォルクスワーゲン傘下の高級スポーツカーメーカーのポルシェはべルリンに拠点を置くスタートアップXAINと車の鍵を含む自動車のためのブロックチェーンベースのアプリケーションのテストを行っています。そのほか、BMWについてはブロックチェーンベースのサプライチェーンプラットフォームを提供するVeChainと提携する話があり、倫理的なコバルト原料のトラッキングシステムを提供するCirculorとの提携も伝えられています。

 

おわりに

環境、IoT、サプライチェーンと様々な視点から、ドイツの自動車業界ではブロックチェーンを取り入れる動きが加速しています。日本の自動車会社としてはトヨタがToyota Research InstituteでBigchainDBやMITとともにブロックチェーンのさまざまな応用を模索しはじめています。

Toyota Research Institute Explores Blockchain Technology for Development of New Mobility Ecosystem | Corporate

mobiCOINがテストフェーズを経てどのように展開するのか、自動車業界にどのようにブロックチェーンが浸透していくのか今後の動向に注目したいところです。

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Aram Mine

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。

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