Crowdsale Feature
Pocket

モバイルカウンターパーティーウォレットIndieSquare Walletを使ってみました(後編)」では、カウンターパーティを使ったトークンの発行方法を紹介いたしましたが、今回はそのトークンの使用用途の一つであるクラウドセールについて紹介いたします。

クラウドファンディング

クラウドセールを知る前に、まずクラウドファンディングについて知っておく必要があります。そこで、最初にクラウドファンディングについて紹介していきます。

クラウドファンディングとは、スタートアップ企業が資金調達を行う方法のひとつで、一般の方々から少額の投資を集め、見返りに出来上がったサービスや製品の優先割引販売を行うといったことをします。その投資を集める場としてkickstaterやCAMPFIRE、makuakeといったサービスがたくさん展開されています。
クラウドファンディングから、実際に製品が量販されるようになったものも存在しています。例えば、MaBeeeというスマホでオン・オフを操作できるIoT電池を作るプロジェクトでは、クラウドファンディングで600万円以上の資金調達に成功し、現在は量産されており、量販店でも販売され、Amazonでは一時品切れとなるほどの人気を博しています。

 

クラウドセール

クラウドファンディング自体も、まだまだ新しいものですが、そのさらに新しい形として、クラウドセールというものがあります。これは、クラウドファンディングでは一般的に製品の優先割引購入権を渡すのと同じように、カウンターパーティーなどを通じて発行された仮想通貨のコインを渡す仕組みになっています。コインを渡すということで、ICO(Initial Coin Offering)という呼び方もされています。

しかし、何の価値もないコインと引き換えに、資金を提供する人はほとんどいません。一般の投資家からは、提供した資金にあった見返りを求められます。その見返りとして、サービス内で使われる通貨の優先発行や、利益配分の権利などが得られます。

ブロックチェーンで胴元なしに予測市場をに行うAugur、分散型公証サービスのFactom、スマートコントラクトに特化したパブリックブロックチェーンプラットフォームのEthereumこちらでも紹介したウォレットアプリのMyCeliumなどがすでにクラウドセールを通じて、資金を調達しています。

 

クラウドセールの例

ここでは、わかりやすい例としてFactomを紹介いたします。Factomは、分散型公証サービスを展開しており、ブロックチェーンに書き込むことで、ドキュメントの存在証明、ドキュメントの更新プロセスの証明、ドキュメントの更新監査証明などを実現するサービスです。Factomの場合クラウドセールで売られたものは、Factom内で使用される通貨factoidです。この通貨factoidはFactomの中で、証明作業を行う際に支払う手数料として使われます。2015年5月に終わったクラウドセールでは、2278BTCを集めました。これは当時の価格で約6400万円になります。

crowdsale-factom

 

クラウドセールで調達した資金の使い道

クラウドセールで調達した資金は、主にサービス開発の資金として使われます。MyCeliumのクラウドセールでは、得た資金をもとに開発する項目を7つ明示し、資金の調達を行っていました。

crowdsale-mycelium

早期割引

クラウドセールの特徴として、早期割引があります。これは、クラウドファンディングでもよく行われています。主に、早い段階で多くの資金を集めるための施策だと思われます。実際にFactomでは以下の様な割引率でした。

最初の1週間 1BTC(1ビットコイン)につき 2000Factoidを発行
次の1週間 1BTCにつき、1900Factoidを発行
以降毎週発行数が100Factoidずつ減る
最後の10日間 1BTC当たり1500Factoidを発行

このように、初期では約33%の割引を行い、徐々に最終価格へと割引率を下げていきました。以下のグラフは、1BTCにつき、発行されるFactoidの量が時間の経過とともに減っていく様子を表しています。

crowdsale-factoid

コインの価値変動

クラウドセールで売られたコインは、常に一定の価値になることはほとんど無く、価値の変動が起こります。これらのコインは、カウンターパーティーや、Poloniexなどの取引所で売買され、ビットコインなどのメジャーなコインと交換できます。取引所では、コインの売買が行われているため、株価と同じように市場の原理が発生し、価格の変動が発生します。

 

crowdsale-ether

上記のグラフは、Ethereumの通貨であるETHとUSドルの交換レートのチャートです。Ethereumでは、2014年7月(上記グラフの期間より前)にプレセールと題してクラウドセールを行い、Ethereum内の通貨であるETHER(イーサー 単位:ETH)を1BTC(1ビットコイン)につき2000ETHを引き換えました。その後、42日間で段階的に値段を上げ、最終的に1BTCにつき1340ETHと引き換えました。当時は、1BTC $500ぐらいだったので、1ETHは0.25から0.37USD程度のものでした。現在(2016年8月現在)は、$11程度になっており、この時の最大44倍の価値になっています。このように、コインの価値そのものが上がることによって、早期購入者が莫大な利益を得るパターンもあります。このメリットを求めて、クラウドセールに応募する投資家も多くいらっしゃいます。しかし、すべてのコインでこのような価格上昇はおるわけではなく、クラウドセール時から原価割れという状況に陥った例も実際にあるので、ご注意ください。

 

ここまで説明してきた通り、ブロックチェーンのスタートアップ企業は、クラウドセールを通して、一般の方にメリットを与えることで投資を募り、資金調達をします。そしてその資金を元に開発を行い、ビジネスを広げ、ブロックチェーンの世界を広げ続けています。こうやって、ブロックチェーンの世界は広がり続けていきます。

最後に、世の中にはこのクラウドセールを使った詐欺も存在しているので、クラウドセールには、十分検討の上参加するか決めるようにしましょう。

Pocket

Mine Aram

Gaiax技術マネージャ。研究開発チーム「さきがけ」リーダー。新たな事業のシーズ探しを牽引。2015年11月『イーサリアム(Ethereum)』 デベロッパーカンファレンス in ロンドンに参加しブロックチェーンの持つ可能性に魅入られる。以降ブロックチェーン分野について集中的に取り組む。